女(石井ひとみ)「あんた、あんた……いるのね。あたし、夜中にふとあんたに触れたいと思う。ただ触れたいって。でも触れるっていうのはとても寂しいことだと思う。何だか知らないけど寂しいことだと思う。でもあんたに触れるとほんの少しだけ慰められるよ」
男(金守珍)「ほんの少しなのか」
女「ええ、ほんの少し。だからって怒らないでね」
男「怒らないよ」
女「でも、そのほんの少しがあたしにとってはとても大きいのよ。わかってくれる?」
男「ああ」
女「それにあたし、目が見えないから時々自分の形を忘れてしまうの。だから蝶になってひらひら飛んで行ってしまわないかって不安なの。でも……こうやってあんたに触れるとあたしはまたあたしの形を思い出すの。……あたし、変な形してないよね?」
男「おめえはおめえだよ」
女「どんな?」
男「……丸じゃない」
女「丸じゃないの?」
男「ああ、みんな丸じゃないよ。四角か五角、せいぜい六角ってところだ」
女「それで転がっていくんだね」
男「ああ、転がっていくのさ」
(鄭義信・作/金盾進・演出/新宿梁山泊 ビデオ「千年の孤独」より)
男(金守珍)「ほんの少しなのか」
女「ええ、ほんの少し。だからって怒らないでね」
男「怒らないよ」
女「でも、そのほんの少しがあたしにとってはとても大きいのよ。わかってくれる?」
男「ああ」
女「それにあたし、目が見えないから時々自分の形を忘れてしまうの。だから蝶になってひらひら飛んで行ってしまわないかって不安なの。でも……こうやってあんたに触れるとあたしはまたあたしの形を思い出すの。……あたし、変な形してないよね?」
男「おめえはおめえだよ」
女「どんな?」
男「……丸じゃない」
女「丸じゃないの?」
男「ああ、みんな丸じゃないよ。四角か五角、せいぜい六角ってところだ」
女「それで転がっていくんだね」
男「ああ、転がっていくのさ」
(鄭義信・作/金盾進・演出/新宿梁山泊 ビデオ「千年の孤独」より)