健太「まだまだこれから先のあるチームになったという部分といろんな選手がいろんな形でね、(中略)育って行く過程を見ることができたのもホントに監督としてはしあわせです。(中略)単なるクラブチームではなく、やっぱり静岡、清水の『サッカー王国』のクラブなんだと、そこにどれだけ誇りを持って、戦えるかどうかととうところはまず、選手には訴えて、(中略)それを十分理解した上で選手がこのチームにどれだけ愛着を持って、誇りを持って戦ってくれるか、というところはまず教えてですね、それは非常に十分理解してくれて、まあそういう意味では、そういうハートを持ったね、選手が数多く出てきたということは非常に大きいことではないかなと思っています」(
Sの極み 11月1日付)
2日の予定だった公式発表が、反響の大きさだろうか、急遽今日に行われた。
このブログもサッカー専門、エスパルス専門というわけではなくでガンボ状態で書き続けてきたわけだが、健太体制前夜から始め、この6年ほど健太と共に走り(書き)続けた。そして今日の健太のコメントにもあるようにチームが<育っていく過程>というものを実際にスタンドから感じ続けていた。草創期エスパルスの象徴であるノボリが現役引退した2005年年末から翌年元日の天皇杯決勝からは信じるに値するものとして書き続けてきた。
結果的に現時点ではタイトルこそ獲れないでいるが、エスパルスは変われるし、強くなれることが信じられた。
健太エスパルスは愛すべき、若きチームだった。
その航海が6年目にして一旦終わることが宣言された。
健太のインタビュー全文は是非読んでもらいたいほどだが、再開したSの極みで読んでいただきたい。
土曜日、アウスタで
東京戦。
台風の中、いつもの席に着くとシーチケのご近所さんはものの見事に一人も来ていなかった。台風が来ているとはいえ、こんなことは初めてだった。この日、アウスタに集まった“コアサポ”は7000名弱。ナビスコ予選でも天皇杯緒戦でもあるまいし、この人数である。いつもゴール裏はアウエイ専なんだけれども、あまりにも少ないゴール裏に思わず足が向きそうになった。それぐらい寂しいスタンドだった。
そして相手は降格危機が現実味を帯びてきた天敵東京。
健太「逆にどうだったですか? あのチャンスの数では自分達が意図して崩した数っていうのは間違いなくエスパルスの方が多かったという風に思ってますし、まあもちろんカウンターから危ない場面も何回かありましたけど、そういう意味では『チャレンジ』という部分に関しては、攻撃的な姿勢は最後まで持ってね、戦かってくれたんじゃないかなという風に思ってます」(
J'sGOAL 10月30日付)
ここ数戦、というか後半戦のゲーム後に呪文のように繰り返された「内容は悪くない」という言葉は、この日も繰り返された。そしてそれはほとんどの場合、間違っていないのだから始末に負えない。結果が伴わないだけであって、内容について極端に手も足も出ないぐらいに押し込まれたという場面、ゲームはこれまでだって数えるほどしかなかったと思うのだ。
ただ、この日のゲームの場合、イチの消極的なプレーに関してはちょっと絶望的な気分になった。大前投入前後から縦に鋭いグラウンダーのパスがたびたび繰り出されるようになった早い展開の中でイチがストップをかけていた場面は少なくなかった。
そして負けた。
誰かがtwitterでも書いていたが、現実的にACL目標と口にしてはいても目標を見失っていたのは確かではないのか。ブーイングはあったのか。風の音か雨の音でかき消されてしまったか。実に寒く(凍えた)、痛々しい敗戦だった。
京都戦で覚悟していたとはいえ、今季で退任は決定的だと思った。
そして実際、翌日にはスポーツ紙ではない、朝日新聞に退任の記事が掲載された。
これは目標を見失ったプレーヤーたちに向けたぎりぎりのタイミングでの、これ以上ないカンフル剤だと思った。
さらに今日のスポーツ紙には健太退任と共にテルとイチ、そしてフローデに対して来季の契約を結ばないとの記事が掲載された。
後任監督予想のおまけつきで。
健太への退任勧告はナビスコカップ準決勝、広島戦敗退翌日の10月11日に行われた。つまり京都戦以前には既に満期での退任は決定していたということになる。イチには10月25日、テルにも10月中旬に通告されたという。フロントはこちらの想像以上に現状についてシビアに捉えていた。監督は別として、イチとテルに関しては当然、名古屋、マリノスの淳吾へのオファーが22日にあったことも影響しているだろう。また代理人契約をしていないふたりに対してある程度の時間を与える意味で早めの公表…というか情報流出も理解できないこともない(感情論は別として)。
これらは契約更改、補強についても水面下で進みつつあるという意味なのかどうかはわからない(が、たぶん、関係がないとは思えない)。これらについてはこれから一ヶ月、二ヶ月の間にさらに動く可能性もある。
健太はもちろん、イチ、テルにもある程度の思い入れはある。感情的にならないと言ったら嘘になる。彼らは正真正銘、純粋培養の清水の魂だ。しかし、それはすべてが終わった後に書きたい。
まだ何も終わってはいないのだ。リーグ戦は残り6ゲーム。天皇杯予選もまだ残っている。
一昨日、昨日のフロントの情報流出については憤りも感じたのは確かだが、驚くべき早さで他クラブに先駆けてフロントが動いたということを今の時点ではポジティブに捉えたい。
これは決して失敗の上に下された決断ではなく、明らかに次のタイトルを狙うための行動である。
FC東京あたりとは違うのである。悪いけど。
(追記)
青山の退団も記事になった模様。事情や偏った情報で浮かれる他サポには悪いが、こんなものは「崩壊」なんぞではない。いずれにせよ、CBは整理しなければならない課題だったのだし、遅かれ早かれ2005年組の誰かは移籍する可能性が高かったのだ。
ま、情報流出はいかがなものかと思うが。
こういうときこそ選手層が問われるわけだし、残るプレーヤーがどんな面子になるのか、むしろ楽しみになってきたぜw