ミセスローゼンの上人坂日記

テキーラを掴む日焼の目玉かな

クリスピータコス
トルティーヤチップスとグァカモレ

あるJRの駅前にある家庭的なメキシカンレストランに、いっぺん入ろうとニックが覗くたび、満員ですと断られる。見ると、お客さんがお箸を使ってタコライスを食べている。だいたいタコライスはメキシカンではないでしょ。ハワイアンか、沖縄ネーズ? まあいいけど、伸びきった麺を供する蕎麦屋や、揚げたてでない天麩羅屋は誰も行かないが、メキシカンなら作りたてのグァカモレやタコスが無くても行ってたりする。
ある時日本のある村のイタリアンレストランでスパゲティバジリコを注文したら、オリーブオイルの湖に浸かった麺が出てきた。匂いを嗅いでみるとオリーブオイルそのもの。ニックが超驚いて従業員を呼んで、これは何ですか?と聞いたら、スパゲティバジリコです、と言う。いやいや、このオリーブオイル様の物は何かと聞いているのですと重ねて問うと、それはオリーブオイルです、と言う。フレッシュバジルのペストを茹で立てスパゲティにからめたのとか、トマトとバジルのスパゲティとかがいわゆるスパゲティバジリコですよね?と確認すると、これも一つのスパゲティバジリコなのです、イタリアでは、と彼女は答える。だがどう見てもそれはやはりオリーブオイルに浸かった麺。これを啜り込むと思うと胸が悪くなる。最後にニックが、これをあなたは本当に食べることができますか?と念を押したら、彼女はにこりともせず、はい、大好きです、と答えた。そして、諦めて席を立つ我々に、すいませんね、お口に合わなくて、と皮肉を言うでもなく、真面目な顔で、食べなくても結構ですが、お代を払って下さいと言い放ったので驚いた。これはまるで、お醤油の海に浸かったお寿司を食べれない客に、お代を払えと言うようなべらぼうな要求だと思うんだけど。イタリアンだからオリーブオイルは有りなのか、と思って食べる客もあるのだらう。
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