ロック探偵のMY GENERATION

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Paul Simon,The Boxer

2018-02-07 17:13:44 | 音楽批評
以前、エルトン・ジョンがツアー活動を引退という記事を書きましたが、また似たような話を耳にしました。

ポール・サイモンがフェアウェルツアーを行っているというのです。

あの、サイモン&ガーファンクルのポール・サイモンです。今年フェアウェルツアーを行い、エルトン・ジョンと同様、今後ツアー活動は行わないということです。
時代ということなんでしょうね。
レジェンドたちも、もうツアーはしんどい年齢になりつつあるということでしょう。

というわけで、今回はポール・サイモンの歌として、「ボクサー」という曲を紹介したいと思います。
厳密にいえば、サイモン&ガーファンクルの曲ですが、ポール・サイモンもソロで歌っています。

「ボクサー」は、都会に出た若者が、厳しい暮らしに打ちのめされる姿を描いた歌です。


  開拓地に、ボクサーは立つ
  彼は闘う男
  彼を打ち倒し 切り刻んだグローブの
  記憶を抱え
  怒りと恥辱にまみれ
  何度も逃げだしそうになる
  しかし闘士は それでもまだ
  とどまり続けている


ボクサーというのは、倒されても倒されてもまた立ち上がる、そういう存在としてよく描かれます。 
『あしたのジョー』なんかまさにそうですが、この歌でも、ボクサーはそんなふうに描かれています。世間の冷たい風にさらされ、ホームレス同然の身になり、それでも決して逃げ出そうとはしない。そこにとどまって闘い続ける……そういう強い意志が感じられる名曲です。
アコースティックではじまりますが、終盤はストリングスが入ってきたりして盛り上がります。教会で録音したそうですが、この荘厳な雰囲気のなかで「ライラライ……」というリフレインが、悲壮に、力強く響きます。打ちのめされても、倒れそうになっても、何度でも立ち上がる……「ボクサー」は、そんな力を与えくれる歌なのです。