ロック探偵のMY GENERATION

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文書改ざんの背後には……

2018-03-27 17:26:52 | 時事
国会で、佐川前理財局長の証人喚問が行われました。

【速報】佐川氏「忖度は個々の内面の話、私は言えない」(朝日新聞デジタル)



肝心な部分では証言を拒否するなどして、あまり実りはなかったようですね。まあ、想定されたことではありますが……

巷では、文書の“書き換え”なんて大した問題じゃないという人もいるようですが……繰り返しいってきたとおり、私にはそうは思えません。

この問題がたいしたことじゃないという人は、2つのことを見落としていると思います。

一つは、もしこの問題がうやむやにされたら、将来もっと頻繁に似たようなことが行われ、“書き換え”の範囲も拡大していくというおそれです。
「これやって大丈夫だったんだから、これも大丈夫だろう」といって、どんどん“書き換え”の領域が拡大していく……極端なことをいえば、経済に関する統計や、選挙の結果さえ信用できなくなるかもしれないのです。

二つ目は、将来の話ではなく、現にいま同じようなことがあちこちで起きているのではないかということ。
ハインリヒの法則にしたがえば、一件の改ざんの背後には、発覚していない30件ぐらいの改ざんがあり、さらにその背後には300件ぐらいのきわどいケースがあるかもしれません。
もっと卑近な例で考えると、「ゴキブリを一匹見かけたら、その家には30匹はゴキブリがいると思っていい」というやつですね。

最近、加計学園問題のほうでもいろいろな疑惑が取りざたされていますが、じつは加計に関しても、少なくなとも一件、文書の“書き換え”が明らかになった事例があります。

問題になったのは、2015年の6月に開催された政府の「国家戦略特区ワーキンググループ」という会合です。
この会合には加計側の幹部も同席していたのですが、公表された議事要旨にはその記載がありませんでした。また、公開するかどうかをめぐるやりとりで、実際の発言と議事要旨の内容に食い違いがあることもあきらかになっています。
この件も、野党は「改ざんではないか」と追及したのですが、「通常の扱いである」とか「内容を調整した」といった言い方でうやむやにされてしまいました。

冒頭の一部が“調整”されたぐらいは大したことじゃないのかもしれません。
しかし、それが一匹のゴキブリだとしたらどうでしょう?

今回、森友に関する文書改ざんもあきらかになったわけですが……ほかにも、自衛隊の日報問題や、厚生労働省の不適切なデータ問題もありました。もしかしたらその背後に何十倍もの、改ざん、隠蔽(そういう言い方が悪いのなら、“書き換え”や“内容の調整”、“データがあることをうっかり忘れていた例”と言い換えてもいいでしょう)が隠れているのではないか……そう考えるのは、決して飛躍した想像ではないでしょう。天井裏はゴキブリたちの王国になっているかもしれないのです。

以前このブログで「国が壊れる」と書きましたが、まさにそういうことなんです。
この状態を放置していたら、国家の土台がむしばまれていきます。とうてい、うやむやにしてしまっていい問題ではないんです。