ロック探偵のMY GENERATION

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『自由はこうして奪われた ~治安維持法 10万人の記録~』

2018-08-19 18:25:54 | 日記
昨夜、NHK教育で、治安維持法に関するドキュメント『自由はこうして奪われた ~治安維持法 10万人の記録~』を見ました。

私も、日本が太平洋戦争に進んでいく過程には興味があっていろいろ調べたりしてるんですが、この番組は、治安維持法というものの無茶苦茶さが克明に描かれていましたね。

共産党員を対象にしたものでありながら、検挙された中に共産党員はわずか3%ほど。あとは、共産党とまったく関係のない人たちが、すさまじい拡大解釈で検挙されたといいます。たとえば、日常のなにげない風景を絵に描いただけで、共産主義の考え方を啓もうしたと言いがかりをつけられて逮捕。そして、いったん逮捕されると、むりやり自白を強要されて有罪になる……もう、狂気としかいいようがありません。

もちろん「共産党員だから」という理由で逮捕されることからして無茶苦茶なわけですが、ふたを開けてみれば検挙された人のほとんどは共産党とまったく関係なかったというんですから、いかにひどいかという話です。

このような拡大解釈、濫用の危険は、国会審議の段階で指摘されていたにもかかわらず、法案は成立。そして、懸念された通り――あるいは懸念されていた以上の濫用が起こります。

番組では、やはり共産党と関係がないにもかかわらず検挙された教師の話が出てきますが、その教師は獄中で“転向”したことにされ、教壇に復帰してからは、満蒙開拓に生徒らを勧誘する役割を強いられたそうです。後に日本が敗戦したときに、大変な混乱をもたらし、幾多の悲劇を生むことになるあの満蒙開拓です。

とにかく戦前の日本の残念な部分が凝縮されたような話で……しかもその残念な部分は、相当程度いまも残っているように思えます。

この番組、22日水曜日の深夜に再放送されるそうなんで、観ていない方はぜひ観ていただきたいと思います。