ロック探偵のMY GENERATION

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ビートルズの日

2021-02-04 19:44:26 | 日記

今日2月4日は、“ビートルズの日”です。

ビートルズの四人は、Fabulous Four (「素敵な四人」)、それを略して Fab 4 などとも呼ばれていました。その Fab 4 と、2月4日= Feb 4 をかけているわけです。

このブログでは、これまでもたびたびビートルズやそのメンバーにについて書いてきたので、いまささらどうこうということもないんですが……まあせっかくなので、またビートルズについてちょっと書いてみようと思います。

テーマはずばり、なぜビートルズはあんなにビッグになったのか。

手に余る問題ですが、音楽評論家の渋谷陽一さんが、それについて興味深い指摘をしています。

渋谷さんによれば、ビートルズをあれだけ大物にしたのは、“欠落”だというのです。

リスナーが本当に求めているものが、当時の音楽シーンに欠けていた。その欠落を満たす存在として、ビートルズが登場した。だから、あれだけヒットしたというわけです。
その論評を、以下に引用しましょう。


 ヒーローとは欠落部分の反映なのである。欠落部分が大きければ大きいほどヒーローも巨大なものになっていく。大きなヒーローが存在した時代は、それだけ巨大な欠落部分も存在したのである。
 多少なりとも見える目を持っていればプレスリー、ビートルズの彼方に何もない巨大な穴、すなわちポピュラー・ミュージックの欠落部分が見えるはずだ。
 ビートルズとは何んだったのかを今考えるうえで、そうしたヒーローの構造を把えておくことは大切である。
                      (新潮文庫『ロックミュージック進化論』より。以下、引用は同書から)

すなわち、当時の音楽業界は、リスナーが本当に求める音楽を供給していなかった。
職業作詞家、作曲家によってヒット曲を量産するシステムができあがっていて、そこから出てくるのは「“僕の可愛いマシュマロちゃん”といったカスのようなもので、人畜無害以前で」あり、ビートルズの登場は「求めながら与えられていない音楽飢餓の数千万人に、何よりも美味な食糧が与えられた」ということなのです。


供給側と受け手側の意識が乖離していくというのは、音楽にかぎらず、小説や映画などでも起きることでしょう。

ビートルズに関していうと、地元のバンドコンテストみたいなものに出場したものの優勝はできなかったとか、デビューするまでに5つぐらいのレコード会社に契約を断られたとかいう話があります。要は、価値を規定する供給サイドと受け手である一般リスナーの基準がそれぐらいにかけ離れてしまっていたということです。
そして、そんなビートルズが世に出て人気を博することで、権威の側が価値基準の変更を迫られる……これが、まさにロックなわけです。

ビートルズの持つ“新しさ”は、ある種の前衛性ということでもあり、その発展がロックの変化自体をけん引していくことにもなりました。
そして、彼らは伝説になった……

せっかくなので、ビートルズの YouTube公式チャンネルから、動画をリンクさせておきましょう。
エド・サリヴァン・ショーでの Twist And Shout です。
カバーではありますが、ライブ感覚、勢い重視の初期ビートルズを代表する一曲といえるでしょう。

The Beatles - Twist & Shout - Performed Live On The Ed Sullivan Show 2/23/64