今日は3月11日。
あの東日本大震災から、10年がたちました。
もうそんなになるのか……と思わされます。
しかし、十年たってみて、復興がうまくいったかといえば、自信をもってイエスとはいえないのが現実でしょう。
たとえば、いまだ福島第一原発をどうするかは見えないまま……現在でも帰ることのできない帰還困難区域が存在しています。
それは「いまだ……」の話なんですが、十年という節目に立って思うのは、問題は「いまだ」だけではないということです。
数年前までは、復興は道半ばという言い方もできたと思うんですが、いまでは復興それ自体も歴史の一部になりつつあり、その是非を問われるようになってきています。
たとえば、かさ上げというやり方が本当によかったのか。
震災十年にあわせて読売新聞が行なった調査によると、岩手、宮城、福島の3県でかさ上げを行なった33地区において、住民の移転が相次ぎ、人口が震災前より44%減少していたといいます。
かねてから、あのかさ上げ工事を行っている場所に本当に人が戻ってくるのかということは懸念されていました。このブログでも、3年前の記事でそう書いています。ふたを開けてみれば、やはりそれは大規模な人口流出を引き起こしていたようです。
また、毎日新聞によれば、震災と原発事故による避難者はいまの時点でも4万1241人にのぼり、被災した42市町村全体で見ても、10年前に比べて人口が4.3%減っているといいます。それぞれに事情があって一概にはいえないでしょうが、どうも、この10年の復興が、人間を置き去りにしたものになってしまっていたのではないか……そんな気がします。
当初復興五輪と位置付けた東京オリンピックの迷走は、震災後の日本を象徴しているようでもあります。
今日開かれた「東日本大震災10周年追悼式」の式辞では、去年の献花式で使われた「復興五輪」という言葉がなくなっていたそうですが……いったい、この国はどこへ行ってしまうのか。そんな心配をせずにられない、10年目の3.11です。