ピエール・ルメートルの『その女アレックス』を読みました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/87/610ff7e005902277abbc85cb1cf7ecba.jpg)
正確には、アマゾンオーディブルで聴きました。
コイン制移行のこともあって一時聴かなくなっていたんですが、最近になってまたオーディブルを復活させ、その第一弾として、本作を聴いてみました。
2014年のミステリー賞7冠を果たしたということで話題になっていた作品ですね。
前にも書きましたが、コイン制になってからのアマゾンオーディブルは話題の新作なんかも入るようになっています。
前半では、拉致監禁事件が描かれます。
全裸で身動きできない檻のなかに閉じ込められて、食糧もなしに過ごす数日……そこからどうやって脱出するかという話です。
それが、中盤からは意外な方向に話が転がっていきます。
ネタバレになるので詳細は書きませんが……事件とその背後に横たわる闇をめぐって、物語は二転三転。情景や人間の内面の細部を緻密に書く圧倒的な描写力が、その語りを支えます。その筆力によって、罪とはなにか、正義とは何か――そういう問いが展開されるのです。
その物語の性質上どこまで内容を明かしてよいのかちょっと迷うところがあるので、あらすじを紹介するにしても、つかみどころのない書き方になってしまうのが歯がゆいところですが……硬質なサスペンスが好きな方なら、読んで損はないでしょう。
ただ、結末については、やや釈然としないところもあります。
これに関しても詳細は書けませんが、それで本当にいいのか、と思う部分が正直あります。
まあ、こういうタイプの作品は、そっちの方向にいきがちだとは思いますが。
つまりは、正義とはなにかという一つの問いかけなのでしょう。その結末をどう捉えるかというのは、読者にゆだねられているのだと思います。