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デレク・アンド・ザ・ドミノス「いとしのレイラ」(Derek & The Dominos, Layla)

2019-12-24 16:54:50 | 音楽批評


今回は音楽記事です。

ジョージ・ハリスンからエリック・クラプトンときましたが……その流れで、今回とりあげるのはデレク・アンド・ザ・ドミノスの「いとしのレイラ」(原題:Layla )です。

 

ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンについて語るなら、この曲ははずせません。

その筋の人にとっては周知のとおり、クラプトンがハリスンの妻だったパティ・ボイドへの恋慕を歌った歌です。

クラプトンとハリスンは親友だったわけですが、クラプトンはその親友の妻であるパティ・ボイドに恋心を抱いてしまいます。未知ならぬ恋。愛か、友情か――その苦悩を歌にしたのが、「いとしのレイラ」なのです。
デレク&ザ・ドミノスは、クラプトンがそのキャリアにおいて結成したグループの一つで、短期間に終わったバンドですが、「いとしのレイラ」はクラプトンを代表する曲の一つになりました。

いろいろな経過をすっとばして結果だけを書くと、パティはジョージ・ハリスンと離婚し、実際にクラプトンは彼女と結婚します。
元夫であるハリスンも、その結婚を祝福しました。
そして、パティとの幸福な生活は、クラプトンに Wonderful Tonight という名曲をつくらせます。

しかし……そんな二人のしあわせも長くは続かず、10年を経ずに離婚してしまうのです。

まあ、そんなもんでしょう。
禁断の愛であるがゆえに燃え上がるという部分もあり、また、思慕の対象を過度に理想化してしまうという“ザルツブルグの小枝”効果もあったかもしれません。

一連の経緯にしても、あらすじだけを聞いていると純愛物語のようでもありますが、現実にはそんな話でもないようです。

パティ・ボイドはたぶんに妖婦的なところがある人らしく、かのミック・ジャガーやジョン・レノンも思いを寄せていたといいます。そんな彼女がジョージ・ハリスンと離婚した理由も、ロン・ウッドとの不倫ということで……もうドロドロです。


しかし、そういったドロドロは別として、レイラは名曲です。

あの鮮烈なリフ。
数十年を経ても時折CMなどで聴かれる伝説のリフです。
さらに、オールマンブラザーズバンドのデュアン・オールマンも参加し、スライドギターを聴かせます。このヴァーチュオーゾの力もあって、「いとしのレイラ」はロック史上に残る屈指の名曲となりました。
手の届かないものへの憧れというのは、アーティストにすぐれた作品を創出させる動機の一つなんでしょう。
たとえそれが幻想にすぎないとしても――というか、まあたいていの場合は幻想だと思うんですが――その幻想の部分にこそ、アートがあるということだと思います。




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