田川市で行われている手塚治虫展に行ってきました。
田川市は、福岡県の北の方にある町です。
かつて炭鉱で栄えた都市で、炭坑節の発祥の地でもあるそうです。筑豊と呼ばれる地域に属し、私の住んでいる場所からはだいぶ遠いところになります。
そんな田川市の美術館で、手塚治虫展が行われていました。
拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』の解説にもあるように、私は子供時代多くの漫画に囲まれて育ち、そのなかでも手塚治虫は神のような存在でした。
その神についての展示です。
だいぶ遠方ではありますが、これは行かねばなるまいということで、行ってきた次第です。
この美術館の雰囲気もいいですね。
やや古風で、70年代ぐらいの漫画に出てきそう……と思うのは私だけでしょうか。
手塚漫画の原画や、虫プロが制作したアニメのセル画などが展示されていて、非常に興味深い内容でした。
なかには、途中までペン入れした段階でボツとなった原稿も展示されていました。
本で見たことはありましたが、実物を見たのははじめてです。下書きとペン入れした絵が混在しているため、制作の途中段階を垣間見ることができます。下書き段階では、登場人物の顔は描きこまれておらず、ペン入れするときに、そのときのフィーリングで表情を描き入れていくんですね。それが、異常に速い制作スピードにもつながっています。手塚治虫だからこそできる技でしょう。
撮影可能となっているコーナーもあり、こちらはそのなかの一つです。
グッズも買ってきました。
『ブラックジャック』のコースターです。
素焼きのコースター。これで、夏場も安心です。
そして、『火の鳥』のしおり。
しおりは、この他にも二つ買いました。よくしおりをなくす私ですが、これでもう大丈夫でしょう。ブラックジャックのしおりは、今日から早速稼働しています。
以前、藤子F不二雄展にいったときも感じましたが、やはり原画は原画のオーラをまとっています。
まして、神の原画ですから、相当な霊験があります。
大いにインスピレーションを刺激され、この刺激を創作に活かしていきたいなと思いました。
手塚先生ですか。
小さい頃貸し本屋で小学館の全集があったので、何冊も読み始めて、高校のころは講談社から出版されたので全部購入いたしました。
「奇子」や「きりひと賛歌」など大人漫画への入口に導いてくださったのも手塚先生。神、ですね。
私が一番こころ惹かれた作品は「アポロの歌」でしょうか・・・。
あの手塚先生が、と衝撃でした。
今は女性が描く漫画の方が、手塚先生の影を感じます。
残念です。
だいぶ年季が入ってる感じですね。「アポロの歌」という作品は、恥ずかしながら知りませんでした。
今度読んでみようと思います。
私が手塚作品で最も好きなのは、やっぱり『ブラックジャック』でしょうか。
たぶん中学生の頃に読んだと思うのですが、衝撃でした。もちろん手塚治虫のことはそれ以前から知っていましたが、『火の鳥』なんかの壮大なスケール感とはまた違って、『ブラックジャック』では一人の人間の生活ドラマを描いていて、しかも毎回あのページ数でまとめてるのがすごいと思います。グッズ売り場でも、気が付けばブラックジャックものに手を伸ばす自分がいました。