今回は、音楽記事です。
このカテゴリーでは、前回ストーン・ローゼズについて書きました。
そこからのつながりで、今回はプライマル・スクリームの Star という曲を紹介しましょう。
プライマル・スクリームは、ローゼズにとってライバル的な存在でした。
また、ローゼズが活動を休止していた間、ベースのマニがプライマル・スクリームに参加していたという関係もあるのです(マニはその後、ローゼズ再結成に合流)。
プライマル・スクリームは、ジーザス&メリーチェインで一時期ドラムを叩いていたボビー・ギレスピーを中心とするグループ。
ポストパンク、セカンド・サマー・オブ・ラブの空気を呼吸し、レイヴシーンで活躍。さまざまに音楽性を変化させながら、現在にいたるまで活動を続けています。
そのプライマル・スクリームのVanishing Point というアルバムに、Star は収録されています。
「権利のために立ち上がったすべての人々に捧げる」というこの歌は、プライマルらしいラディカリズムが表明された曲といえるでしょう。
曲中には、ローザ・パークス、キング牧師、マルコムXといった人たちの名前が出てきて、次のように歌われます。
彼らは示してくれた
僕たちには力があることを
僕たちがどんな変化をもたらすことができるかを
社会を変えるためには
法律を変えなきゃならないんだ
彼らの肉体は消えても
その魂は生き続けている
このあたりは、以前このブログで紹介したU2の Pride と重なるメッセージかもしれません。
キング牧師を歌ったあの曲で、ボノは「彼らはあなたの命を奪ったが、魂を奪うことはできなかった」と歌っています。
そして、サビではこう歌われます。
Every brother is a star.
Every sister is a star.
このフレーズは、どうもいい訳が思いつきません。
どう訳しても、いっていることのニュアンスは伝わらないような……ただ、この原文から、いわんとしていることは十分に伝わると思います。
歌の最後の部分は、こんな感じです。
夢見る者たち 反逆する魂 そして未来の日々のために
勇敢で 強くあれ
戦い続けろ
混沌の中でも自分を見失うな
イングランドの女王
これほどのアナーキストはいない
ある人にとっての“自由の戦士”は
他の誰かにとってはテロリストなのさ
この歌一つとってもわかるように、プライマル・スクリームはかなり政治的にラディカルなところがあります。
そういうスタンスは、ストーン・ローゼズともつながるところがあるでしょう。ローゼズはいくらか微温的なところがありますが、プライマル・スクリームは過激な歌をいっぱい歌ってます。
たとえば、Swastika Eyes なんかはそれがはっきりしている曲の一つでしょう。
Swastika というのはナチの鉤十字のことですが、こういうかたちで資本主義社会を批判しているわけです。
私個人としては、ロッカーならこれぐらいやってほしいと思いますね。
こういう抵抗があるからこそ資本主義は人間のすべてを侵食できないのであって、そういう意味からも、ロックという反抗が必要なんだと思います。