ロック探偵のMY GENERATION

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Slipknot - My Plague

2020-06-06 20:53:53 | 音楽批評


先日、BLACK LIVES MATTER運動についての記事を書きました。

その記事で、今回の問題について発言しているアーティストたちの名前を揚げましたが、そのなかにスリップノットのジェイ・ワインバーグがいました。
そこで今回は、この Slipknot とジェイ・ワインバーグについて書いてみたいと思います。

スリップノットは、その筋では超大物バンド。
映画バイオハザードに曲を提供したりもしていますが、まさにああいう感じのバンドです。

そのバイオハザードの挿入歌、My Plague のオフィシャルビデオです。
ただし、この頃のドラマーはジェイ・ワインバーグではありませんが……

Slipknot - My Plague [OFFICIAL VIDEO]

メンバー全員マスクをかぶっているというのが大きな特徴ですが、それらのマスクは、ホラー映画に出てきそうなものばかり。

ジェイ・ワインバーグの場合は、こんなものです。


3DCGでジェイ・ワインバーグを再現……ということなんですが、これはちょっと失敗していますね。
お面をかぶってるから簡単だろうと思ってやってみたものの、なかなかそれらしくなりません。まあ、でもだいたいこんな感じの人だと思ってください。

で、このジェイ・ワインバーグさんが、今回の BLACK LIVES MATTER運動で発言しているわけです。

こんな北斗の拳にでも出てきそうな見るからに極悪な人が人種差別反対を訴えるのは不思議に思えるかもしれませんが、やっぱり、それとこれとは話が別なんです。


ただ……ジェイ・ワインバーグの場合、彼が今回の問題について発言した背景には、その出自もあるかもしれません。

じつは、ジェイは父親のマックス・ワインバーグもまたドラマーであり、しかも、ブルース・スプリングスティーンのバックバンドであるEストリートバンドのドラムなのです。

ブルース・スプリングスティーンは、これまでこのブログで何度か名前が出てきました。

アメリカ社会の抱える問題に正面から向き合ってきたミュージシャンであり、その視野には人種差別の問題も当然入っています。

それが端的に表れた例として、アマドゥ・ディアロ殺害事件を題材にした American Skin (41 shots)という歌があります。

Bruce Springsteen & The E Street Band - American Skin (41 Shots) (Live in New York City)

1999年、ニューヨークの警官が無実の黒人青年アマドゥ・ディアロを41発もの銃弾を撃って射殺したというこの事件を、スプリングスティーンは歌によって批判。これに反発した警官たちの組合が、彼のライブ会場の警備を拒否するという事態に発展しました。

この一件からも、アメリカでは今回のジョージ・フロイド殺害と同じようなことが繰り返されてきたことがわかります。

そして、心あるアーティストたちが、そうした人種差別に対して声をあげてきました。

ブルース・スプリングスティーンはなかでも特に有名なわけですが、その感覚は、当然バックバンドであるEストリートバンドのほかのメンバーにも共有されているでしょう。
たとえば、ギターのスティーヴン・ヴァン・ザントは、80年代に反アパルトヘイトバンドを主宰したりしていました。
ジェイ・ワインバーグも、その系譜上に位置づけられるのではないでしょうか。
彼は父親の代役としてEストリートバンドでプレイしたこともあるそうで、それを考えるとなおさらです。それにしても、スリップノットからブルース・スプリングスティーンという振れ幅がすさまじいですが……

最後に、ジェイが今回の件についてツイートした内容を引用しておきます。
スティーヴン・ヴァン・ザントがリトル・スティーヴン名義で発表した I Am a Patriot という歌を以前紹介しましたが、このツイートから、あの歌と同じトーンを聴きとることができるでしょう。

構造的な人種差別は存在している。
白人の特権は現実のものだ。アメリカの黒人が、芯まで壊れてしまっているシステムのなかで数世紀にわたって耐えてきた抑圧と偏見をまたも目の当たりにして、胸が痛む。
警察の暴力や構造的な人種差別の加害者に対して声をあげ、白人の特権となっている自由を享受できずにいる人々の味方になるべきときだ。
本当の変化を実現するために、自分たちの声を役立てられることを願っている。そして、真の平等、自由、連帯のための戦いに、自分たちの時間やエネルギー、寄付、共感によって貢献できることを……





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