アメリカで、BLACK LIVES MATTER という運動が広がりをみせています。
黒人男性ジョージ・フロイドを白人警官が不当に扱い死亡させたということで、その人種差別的な対応に全米で批判の声があがりました。
多くのミュージシャンたちが、この問題について発言しています。
ガンズのダフ・マッケイガンに、アクセル・ローズ、スリップノットのジェイ・ワインバーグ、アダム・ランバート、トラヴィス・スコット、ジェイZ……
さらに女性アーティストとしては、ビリー・アイリッシュ、テイラー・スウィフト、リアーナ、レディー・ガガ、ビヨンセ、アデル、アリアナ・グランデ……
そしてその中の一人に、ホールジーという人がいます。
この方は、みずからもLAでのデモに参加し、警官の撃ったゴム弾で負傷したということです。
私は最近の音楽にあまり詳しくなく、今回の件に関するニュースをみていて初めて知ったんですが……このホールジーさんは、いまアメリカでブレイクしている女性シンガーソングライターだそうです。
双極性障害を抱え、ホームレス生活を送り、自殺未遂や流産を経験し……という、なかなか壮絶な人生を送ってきたといいます。
このジャケ画像のメイクは、顔に青アザができているというような表現でしょうか。
だとすると、ゴム弾で撃たれるという今回の件を予言しているようでもあります。
恵まれているとはいえない前半生で世の不条理を味あわされたことを表現しているようにも思われ……だとすると、人種差別という不条理にさらされる側に立って負傷するということとつながってくるのかもしれません。
とはいえ、日ごろからそういう歌を歌っているというわけでもなさそうです。
たとえば、この You Should Be Sad という歌。
Halsey - You should be sad
破局した元恋人(ラッパーのG Easy)のことをこれでもかというぐらいに罵る歌です。「あんたは自分が思ってる半分ほどもいい男じゃない」「金やドラッグや車で、あんたのなかにある穴は埋められない」と、なかなか辛辣な罵倒っぷりです。
まあ、それでいいんです。
先述したアーティストたちのなかにはお行儀がいいとはいえない人も混じっていますが、人種差別に反対するのに別に聖人である必要はなく、ふだんから政治的な姿勢を示している必要もありません。
日頃は、歌って踊って暮らしる。でも、人種差別のような不当な問題があれば、たとえ自分が当事者でなくとも敢然と声をあげる――アーティストは、そういう態度でいてほしいなと思います。