本日、西山朋佳女流三冠の棋士編入試験第五局が行われました。
今まで将棋の記事というのは書いてませんでしたが……実は私、ちょっと将棋をかじっていて、今回の編入試験も注目してました。
一応簡単に説明しておくと、これまでおよそ100年のプロ将棋史において女性のプロ棋士は一人もいませんでした。
「女流棋士」というのは存在しているわけですが、これは一般のプロ棋士とは別の枠組み。プロ棋士になるためには、奨励会という組織に所属して、昇段を重ね、最後の三段リーグというものを勝ち抜く必要があるわけですが、このルートを通過してプロになった女性はこれまで一人もいないということなのです。
西山さんは、かつて奨励会三段リーグまでいき、あと一歩というところの紙一重で四段昇段(プロ入り)を逃した方。そこから女流棋士に転向し、同じような経歴をもつ福間(旧姓:里美)香奈女流五冠とともに女流棋界の二強と目される存在になっていました。
で、今回の編入試験ですが……これは、前述した正規ルートでのプロ入りを逃した猛者がプロになるための別ルートです。
一定の条件を満たすと受験資格が与えられ、受験を希望すると、プロ棋士のなかから若手の棋士五人と対局。3勝すればプロとなることができます。
たいていは、奨励会を一度退会した人があらためて挑戦するという感じで、福間さんもかつて受験しました。女性としては今回の西山さんがそれに続く2例目。ここで、いよいよ史上初の女性棋士が誕生するかもしれないということで注目を集めていたわけです。
その結果は、残念ながら不合格だったわけなんですが……しかし、あと一勝というところにまでいたり、得意の三間飛車でのぞんだ最終局。西山さんも、持てる力を出し切った戦いだったんじゃないでしょうか。
また、試験官である柵木幹太四段も、どんな状況であろうと全力で勝ちに行くという勝負師の哲学をきっちり実践したのだと思います。
女性のプロ棋士がこれまで誕生しなかった理由はいろいろ論じられていますが、まず、女性の棋士人口が少ないということが大きな理由であることは疑いないところです。女流棋士界の存在によって、そのあたりはだんだん改善されてきていて、あと一歩というところに手が届く段階まではきているというのが現状でしょう。今回、西山さんの編入試験突破はかないませんでしたが、女性棋士の誕生もそう遠いことではないんじゃないでしょうか。