ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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ニジゲンノモリ ゴジラ迎撃作戦

2022-06-12 19:03:01 | 旅行


淡路島にあるニジゲンノモリというところにいってきました。

兵庫県内をまわる旅行の一環。
なんでこんなところに来たかというと……ここに、ゴジラのアトラクションがあるのです。

その名も、“ゴジラ迎撃作戦”。




今回の兵庫旅行は山田風太郎から出発したわけですが、ゴジラも強引に風太郎につなげることができます。山田風太郎が江戸川乱歩から“戦後派五人男”の一人に列せられたという話を書きましたが、その五人男の一人である香山滋が、第一作『ゴジラ』の原作を書いているわけです。

まあ、それはともかく……ゴジラ迎撃作戦。

敷地内に、シンゴジラが設置されています。



体の一部だけではありますが、おそらく実物大ということしょう。

日本を襲撃したシンゴジラが活動抑止剤を撃ち込まれて、休眠状態になっている……という設定です。
その設定を説明するショートフィルムがミニシアターで上映されてるんですが、これもなかなか力が入ってました。

アトラクションとしては、ジップラインでこのゴジラの体内を通過するというもの。
さらに、シューティングゲームみたいなコーナーもあります。

そして、ゴジラミュージアム。

ここがすごい。
今回ニジゲンノモリに来たのはここのため。このために淡路までくる価値はじゅうぶんにあります。
まずはじめに出迎えてくれるのが、これ。


この画像では伝わりませんが、結構なサイズで迫力があります。



こちらは、『東京SOS』の再現。あの映画で実際に使われたスーツだといいます。
ゴジラシリーズ作品の登場人物たちがミニチュア内のあちこちに配置されています。
下は、『ゴジラVSビオランテ』に登場する権藤一佐らしいです。



スーツ以外にも、さまざまな模型などが展示されています。
やはりビオランテから、スーパーX‐2。



デストロイアの模型。
企画段階で制作されたものだそうです。



そして、このゴジラ迎撃作戦のストーリーに基づいたジオラマ。



今年はガイガン登場50周年ということで、ガイガンをクローズアップしたコーナーも。



FINAL WARS版のガイガン。



起動前の姿も。



X星人(?)の姿もあります。



轟天号。これもFINAL WARSに出てきました。





ミュージアム外では、ゴジラとコラボした飲食物も売られています。
そのなかの、モスラドリンク。


水墨画風に描かれたモスラ……ということなんですが、これはちょっと中身が入っていないとわかりづらい。

下は、ドリンクを買うとついてくるコースター。
こちらはランダムですが、私が引いたのはVSメカゴジラ版のラドンでした。

ほかにも、歴代ゴジラ映画に登場した怪獣たちの市販フィギュアが勢ぞろいした展示などもあり……ミュージアム自体はさほど広くないものの、見ごたえがあります。ゴジラファンなら、一度行っておいて損はないでしょう。







ロックの日 ~反戦歌特集~

2022-06-09 21:47:57 | 日記

今日は6月9日。
「ロックの日」です。
というわけで、ロック特集。

いまだロシアとウクライナの戦争は続いており……今回は、反戦歌ということでいこうと思います。ちょっとロックの枠からはみ出してしまってる部分もありますが……


反戦歌の代表ともいえるボブ・ディラン「風に吹かれて」。
このブログでは何度も動画を載せていると思いますが……今回はニール・ヤングのカバーで。

Neil Young - Blowin' in the Wind (Live at Farm Aid 2013)


Who'll Stop the Rain。
CCRとして発表された曲ですが、ここではジョン・フォガティのソロで。
両サイドにはブルース・スプリングスティーンとロビー・ロバートソンという豪華な布陣です。ブルース・スプリングスティーンは、自身のライブでもこの曲をカバーしたりしています。

John Fogerty (CCR) "Who'll Stop The Rain" @ Rock & Roll Hall of Fame LIVE

投下される爆弾を雨になぞらえ、雨を止めるのは誰、と問いかける歌です。


「カントリーロード」で知られるジョン・デンバーが歌う Lat Night I Had the Strangest Dream。

John Denver Peace Poem & Last Night I Had The Strangest Dream

歌の前に、ジョン・デンバーが「平和の詩」を披露しています。

 平和は 私たちの祈り
 平和は 私たちが与えるもの
 平和は 私たちのありかた
 平和は 私たちの生きる道

この詞から、歌に入ります。
歌のほうは、ジョン・デンバーのオリジナルではありません。オリジナルは、エド・マカーディという人で、反戦歌として多くのアーティストにカバーされました。ジョーン・バエズや、ピート・シーガー、サイモン&ガーファンクル……その界隈ではおなじみの面々で、いうなれば、反戦フォークスタンダードということになるでしょうか。

  昨夜 とっても奇妙な夢をみたんだ
  これまで見たこともないような
  世界の人々がみんなで戦争を終わらせるという
  夢を見たのさ 


ジョン・レノンの Mind Games。

MIND GAMES. (Ultimate Mix, 2020) - John Lennon and The Plastic U.F.Ono Band

  僕らはみんなマインドゲームをやってるんだ
  障害をおしのけ 種をまきながら
  マインドゲリラをやってるんだ
  マントラを唱えながら
  地には平和を

  愛が答え
  きみにもはっきりとわかるはずさ
  愛は花 その花を
  育てていかなきゃならないんだ


ジョン・レノンといえば、Imagine。
Playing For Change というプロジェクトでこれをやっている動画がありました。ジョン・レノン自身の声も使われています。

Imagine (John Lennon) | Playing For Change | Song Around The World


同じPFCのチャンネルから、ローリング・ストーンズの Gimme Shelter。
ここでは、タージ・マハルが参加。また、日本から Char さんも参加しています。

Gimme Shelter (The Rolling Stones) feat. Taj Mahal | Playing For Change | Song Around The World

この歌の War, children, it's just a shot away という歌詞の意味がいまいち判然とせずにいたんですが、Youtubeにピーター・バラカンさんの解説というのがあってようやくわかりました。
この詞のいわんとするところは、戦争と銃一発ぶんの距離しか離れていない=銃一発撃てば戦争ははじまってしまう、というようなことらしいです。ピーター・バラカンがいうのだから間違っているということはないでしょう。
逆に、最後のほうにある I tell you, sister, love, it's just a kiss away という歌詞は「愛のためにはキスひとつでいい」ということになるわけです。


PFCからもう一曲、ボブ・マーリィのWar/No More Trouble。
ここでは、U2のボノが登場します。

War/No More Trouble feat. Bono | Playing for Change | Song Around The World

  戦争
  同胞を殺し 国を破壊し
  得られるものは何もない
  
  戦争なんかもういらない
  
  ある者が勝ち ある者は敗れ
  ある者が死に ある者は泣く


ボノが出てきたので、最後にU2。

Love And Peace Or Else

  銃をおけ
  すべてのシオンの娘たちよ
  すべてのアブラハムの息子たちよ
 
  愛はどこにあるんだろう
  愛はどこにあるんだ
  愛と平和
  愛はどこにあるんだ……



  

手塚治虫記念館にいってきました

2022-06-08 17:30:13 | 旅行

宝塚にある手塚治虫記念館に行ってきました。

先日山田風太郎展に行ってきたという話を書きましたが、せっかく兵庫県まで行くということなので、あちこち行ってみようということで、その一環です。姫路からだとだいぶ離れているということに現地にきてから気づきましたが……まあ、すでに予定としていたので、行ってきました。


行ってみると、たまたま、「鉄腕アトム連載開始70周年記念」という企画展をやってました。



漫画『鉄腕アトム』の原画がいくつか展示されており、非常に貴重な資料をみせていただきました。

手塚先生はアトムを代表作とされることを嫌がっていたともいいますが……やはり20年近くにもわたって連載し、アニメ第一作となったアトムには愛着があったでしょう。
そのアトムも、長く続けているといろいろあって、テコ入れのために、アトムのキャラを“悪者”のほうに寄せるという趣向がとられたことも。
今回の展示ではじめて知ったんですが、編集からの提案でそういう話になり、結果としてあまり読者受けはよくなかったという……まあ、そんなもんでしょう。
ただ、実際そのあたりのエピソードを読んでみると、私は非常に面白く感じました。不本意な設定でさえ、こういうストーリーを創れてしまう手塚治虫というクリエイターの偉大さなのでしょう。

せっかくなので、『鉄腕アトム』の動画を。
1980年代のリメイク版です。

【公式】鉄腕アトム(1980) 第1話『アトム誕生』

オリジナルストーリーですが、手塚先生がみずから制作に関わっています。
脚本とか、もうそういうところに名前が入っているわけです。超大御所でありながら、こうして最前線に出てくるバイタリティが、手塚先生のすごいところ。


この手塚治虫記念館は、常設展示のほうも、充実しています。
やはり原画などがふんだんにあり……映像資料も。
その映像の中で、漫画家にハングリー精神がなくなっているということを手塚先生が嘆いておられました。

手塚先生自身はハングリー精神のかたまりで、漫画界に新たなヒット作、新たなトレンドが出てくると、激しい対抗意識を燃やしていました。
そのことが、幾度か「過去の人」のような状態になりかけながら、そのたびに最前線に復帰するということを死ぬまで続けた源泉でもあるわけです。
『鉄腕アトム』にしても、足かけ18年におよぶ連載のなかで、微妙にアトムの絵柄を描き分けている。それは、つねに新たな読者を獲得するためだというのです。
しかるに、いまの漫画家にはそういう貪欲さがない――と、先生はおっしゃるわけです。
「いまの」といってももう30年以上前の話にはなるわけですが……これはあながち、ただの「近頃の若いもんは」論でもないと思います。
ロックンロールと漫画は20世紀カウンターカルチャーの最前衛だというのが私の文化史観ですが、この二つは似たような道をたどってきました。はじめは蔑まれる存在だったものがやがて大きく発展し、ポピュラーになったがゆえに、その草創期にもっていた反逆精神を失うという……
日本の漫画に関していえば、日本の漫画・アニメは世界に誇れるすばらしいものだといったことを自ら意識して言い出した頃が一つの転換点なんじゃないかと思います。
そうやって大物ぶりはじめた結果、案外この分野でも日本は世界における存在感を失いつつあるんではないかと……
やはりカウンターカルチャーというのは、権威の側から蔑まれ、下に見られてこそ、エネルギーを爆発的に燃焼させるのでしょう。ゆえに手塚先生は、漫画が輝くためには批判が必要だというのです。至言ではないでしょうか。

最後に……
宝塚駅から手塚治虫記念館にいたる道のところどころに埋め込まれている手塚キャラのパネルを載せておきましょう。










山田風太郎展

2022-06-06 21:33:46 | 旅行


昨日のことになりますが、姫路で行われている山田風太郎展というものに行ってきました。



山田風太郎は、姫路の出身。
ということで、姫路で行われている展示です。巡回展ではないらしく、ここでしか見れないということで姫路までやってきました。昨日がその最終日……ぎりぎりですべりこんだというところです。

出身地である姫路で、生誕100年という記念でもあり……この企画に親族の協力も得て集められた資料は、質、量ともに相当なもの。そういうかたちでの展示なので、多くの資料が複製ではなく現物となっており、そこがまたすばらしい。


山田風太郎といえば、なんといっても忍法帖シリーズでしょう。
それらの作品は、『魔界転生』や『SHINOBI』など、今世紀に入ってから新たに映画化されたりもしています。
しかし……山田風太郎がはじめに商業作家として世に出たのは、探偵小説というジャンルにおいてでした。
しかも、凡百のミステリー作家ではなく、江戸川乱歩や横溝正史とも親交のある正統本格派なのです。
乱歩が風太郎を高く買い、高木彬光や香山滋らとともに“戦後派五人男”と呼んだことは以前どこかで書きました。今回の展示会では、そういったミステリー界の大物たちと交わした書簡などもあり、非常に興味深いものでした。
意外なところでは、中井英夫とも交流があったそうです。中井英夫といえば、奇書『虚無への供物』。アンチミステリというか、メタミステリというか、そういう方向の人であり、本格推理とは一線を画する作家ですが……山田風太郎も本格推理の世界にどっぷりつかっていたわけではないので、ある種通じ合う部分があったのかもしれません。ただ、直接会ったことはなく、手紙のやりとりをしていたということらしいですが……
さらに意外なのは、ミステリーの枠を超えて色川武大などとも親交があったといいます。
色川武大、またの名を阿佐田哲也……そう、あの麻雀放浪記の阿佐田哲也です。風太郎もまた名うての雀士(ただし自称)であり、阿佐田哲也ともよく卓を囲んでいたとか。そういう文壇の麻雀仲間みたいなものがあって、その縁で角川から特製の雀牌を贈られたということで、その牌も展示されていました。どこが特製かというと、一筒四枚の中央に「山」「田」「風」「太郎」という文字が刻印されているのです。これはもう、国宝級の雀牌といってもいいでしょう。



山田風太郎といえば日記文学でも有名ですが、今回の展示ではそれらのもととなった日記の実物も展示されていました。

なかでも特に目を引いたのは、1945年8月15日のことを書いた日記でしょうか。
おそらく作品として刊行されているのだと思われますが、正直私はそちらのほうにはあまり詳しくなく、初見でした。

1945年8月の時点で山田風太郎はまだ学生であり、いつもどおりに大学で講義を受けていました。
その日の朝、「政府から重大発表がある」ということが告知されていて、しかも、天皇自身の肉声がラジオで放送されるらしいということで、それは何だろうかと学生たちのあいだで話題になっていたようです。
「休戦、降伏、対ソ戦宣言」という三つの選択肢が挙げられていて、風太郎は「対ソ戦宣言」一択と考えていました。
降伏などありえない、対米英戦争が抜き差しならぬところにソ連参戦という未曽有の国難にあたって、天皇自らが国民に呼びかけようということに違いない……と。
山田風太郎でもそうだったのだなあ、と思わされます。
まあ、その時代はたいていそんなものでしょうが……やはり、プロパガンダが行き届いていると、山田風太郎でさえ目が曇ってしまうわけです。つまりは、いまのロシアみたいな感じだったんでしょう。



ちなみに、姫路文学館では、別の企画もやっていました。



こちらは、本格系のミステリー作家たちが、文章やイラストなどを寄せたもの。

このなかで、方丈貴恵さんに関しては、たまたま最近この方の作品を読み、また、ご自身のツイッターアカウントで山田風太郎展に行ってきたとつぶやいておられるのも目にしました。出身が姫路なんだそうで……そういう点でも特別だったのでしょう。

さらに、この姫路文学館には、姫路ゆかりの作家らに関する常設展示もあり、また、司馬遼太郎関連の展示などもあって……いろいろと刺激を受けました。こうして姫路まできた甲斐があったと思います。



『シン・ウルトラマン』

2022-06-03 21:36:47 | 映画



『シン・ウルトラマン』、観てきました。

注目の映画があっても行こう行こうと思いながら結局行けずじまいになるパターンが結構多い私ですが……今回はうまくタイミングがあって、観に行くことができました。

※以下、『シン・ウルトラマン』の内容に言及しています。
極力ネタバレは避けるつもりですが、ご注意を。

ネタバレに関していうと、この現代社会、公開から三週間ほども経過すれば完全に回避するのも難しく……私自身いくつかのネタバレにさらされてしまっていました。致命的でないものがほとんどでしたが、最後にアレが出てくるということは知らずに観たかったというのが正直なところです。

まあやはり、アレの登場はウルトラマンの物語を描くとなれば必然的に行きつくところでしょう。
その最終決戦のくだりは、初代ウルトラマンのみならず、ウルトラマンシリーズの背後に流れ続けてきたテーマ――“人間の物語”としてのウルトラマンがもつテーマが、しっかりと描き出されていたと思います。正直、観る前にはちょっと警戒していた部分もあるんですが……いい意味で予想を裏切られる作品でした。

ちなみに、警戒していた部分というのは、庵野さんの“カラー”を過度に出してこないかというところ。
おそらくそれで身構えている特撮ファンは結構多いと思われ、また作品の評価が割れるのもそこからくる部分が大きいでしょう。
『シン・ゴジラ』の場合、私のなかでそれがちょっとした違和感になっていたことは否めません。挑戦的ともいえる大胆な設定が、ゴジラという作品の根底にあるテーマを浸蝕してしまっているようにも感じられ……
しかし今回の『シン・ウルトラマン』の場合は、そういう違和感はほとんどありませんでした。それもやはり、ウルトラマンのテーマを踏襲しているがゆえなのでしょう。『シン・ウルトラマン』は、先述した“人間の物語”という部分だけでなく、特撮ヒーロードラマとしてのウルトラマンのコンセプトにより忠実なのだと思われます。
庵野カラーをもっとも感じたのは、やはりクライマックスでのアレの演出でしょうか。
ちょっとエヴァっぽいというのもありますが……私は『トップをねらえ』なんかを思い出しもしました。そう思ってみれば、せりふが共通しているといえなくもない。ただそこも、『トップをねらえ』のあのエンディングで描かれたテーマが、“人間の物語”としてのウルトラマンのテーマと一体化しているように感じられるのです。やはり、かねてからウルトラマンをやりたかったという庵野さんのウルトラマン愛があふれているということなのでしょう。


ちなみに、本作に登場する長澤まさみさんは本日が誕生日なんだそうです。
長澤さんといえば、東宝特撮ではかつて『ゴジラ FINAL WARS』に出ておられました。そこでは小美人役でしたが、今回は対照的にフジ隊員的役回り(こういえば、わかる人にはわかるでしょう)……もし続編ということがあれば、当然出演されるでしょう。そちらにも期待です。


最後に、劇場でこんなものが売られていたので買ってみました。



ドリンクホルダー。
購入すれば、持ち帰って私用にできます。ただ、これに入れて使える容器はそうなさそうですが……