水芭蕉の咲いている報道を見ながら

　　大沼公園での映像だった。水芭蕉が咲いている。それを写真に撮りに来ている人もいた。いま、水芭蕉が春一番の花としてもてはやされている。

　私は上川で幼少期を送った。水芭蕉は何も珍しいものでなく、むしろ気持ちの良くない花に入っていた。水芭蕉という立派な名前も長いこと知らないでいた。確か「仏の座」とか言ったように思う。あの白い花が仏像で、青い葉っぱが光背のように見えての名前だと思う。それで、何か気持ちの良くない花になっていたのだと思う。家内にそんな話をしたら、家内も子供のころは良い印象を持っていなかったという。

　今、渓流には「やちぶき」が黄色い可憐な花を咲かせていると思う。子供のころ堅雪を渡って「やちぶき」を取ってきて、母に喜んでもらった。春の欠かせない食材だった。更に付け足せば「山わさび」も春一番の香味で、当時は雪解け頃にしか食べれないもののように思っていた。今は年中スーパーで売っている。

　不思議な気がする。あのタランボの芽が高級食材だし、とにかく子供のころ見向きもしなかったような山菜が店頭を飾る時代になっているのだ。