事故から2年が経過して、語ることは何かを考えています。
3/20(水・祝)木下黄太講演IN横浜 「健康被害の現状と放射能防御」
18:30開場、19:00開始(~21:00予定)
関内ホール<小ホール> 主催 横浜子供の会
申込詳細→http://kokucheese.com/event/index/78824/
まず、みなさんと確認しておくことがあります。
甲状腺の対照群調査の結果から、甲状腺のことばかり気になっていると思います。
もちろん、チェルノブイリで、起きていることの中で、IAEAやWHOでさえ、甲状腺の疾患を、被曝影響と認めているため、その部分の議論が圧倒的に皆さんの間で大きくなることが、わからなくはありません。
しかし、僕は従前から、みなさんに甲状腺のエコーや検査のスクリーニングを続けることだけでなく、血液検査、特に白血球、その血液像をきちんと確認すること(分画)。好中球などを確認することをしつこくみなさんにお願いしました。
なぜだか、わかりますか。
甲状腺は、最悪の場合、がんになりますが、比較的予後が良い。助かる可能性の方が圧倒的に高いのです。しかし、お子さんの場合、転移がはやく進行するケースがあり、転移が進んでいると助からないケースもあります。ですけれども、これはきちんと確認を続けることで、最悪の事態は回避できます。
しかし、血液疾患がおきた場合、最悪の事態を回避できる可能性はものすごく下がります。
隠ぺいに重きがある政府側が、他の疾患のことは、当面全く認めません。
しかし、彼らが認めようが認めまいが、実際の疾病として、おきてくるのは、皆さんや皆さんのお子さんです。
この話は、どこか空想世界のおとぎ話ではありません。実際に、1人1人の身に、のしかかってくるのか、それを防ぐことができるのかという闘いが続くことになります。
ですから、危険度の高いことの兆候から確認を続けるしかありません。甲状腺のチェックはその一つの指標にしかすぎませんし、危険度は低い方なんです。これで被曝影響の全容がわからないケース(甲状腺にダメージはない場合)が、むしろ多いと考えるべきです。
だから、とにかく警戒を、下げないでください。その緩みがあなたやあなたの大切な人を追いやります。
僕は貴女を助けたいのです。
甲状腺の嚢胞や結節が、いったいどの程度のことなのかは、今回は、福島県「県民健康管理調査」が現在、どの程度の結果が出ているのか。特に結果としてはよりよくない、B判定が出ているものを先に、確認します。
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/koujyosen-ketuka2501.pdfより
B判定 5.1㎜以上の結節や20.1㎜以上の嚢胞を認めたもの
H23年度 186人 0.5% (検査総数38,114人)
H24年度 548人 0.6% (検査総数94,975人)
このように、B判定は、0.5%から0.6%ということになっています。時期のずれ、県内地域のずれもありますから、この程度の偏差が偏ることはありえるとおもいます。
さて、今回の対照群です。長崎・青森(弘前)・山梨(甲府)です。データが0-3歳児を含んでいないことが、対照群とは、単純には言い難いものです。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16419
B判定 5.1㎜以上の結節や20.1㎜以上の嚢胞を認めたもの
44人 1% (検査総数4365人)
この通りだとすると、実は、この三県で、福島よりも重いデータが出ていることになります。母数が桁が一桁違いますが、少なくとも数千人単位のデータですから、環境省の言われるとおりでしたら、データとして認めるべきでしょうし、数のみの観点では、数千で疫学データとして成立します。
そして、あれだけ被曝している福島、しかも現在、甲状腺癌が3人。甲状腺癌の疑いが7人となっています。あわせて10人です。これが、最低限、政府と福島県が認めているものです。この10人は38,114人が母数からのものです。そうするとおよそ4000人に1人、癌になる可能性が高いということです。
甲状腺がんの頻度にはいろんな意見がありますが、こどもの甲状腺癌は100万人に1人の頻度とも言われています。過去には、大人も含んでの人口10 万人当たりの年齢調整罹患率は男性 2. 56,女性 7. 17 というデータもあります。福島で、甲状腺がんが多発しつつあることは、議論の余地がありません。
現在の福島がそうであるとすると、甲状腺癌となりうる状態に、最も近い状況にある可能性が高い、B判定がでているものが、福島よりも、長崎・青森(弘前)・山梨(甲府)の方が、確率がおよそ倍も高い可能性が出ているのです。
ひょっとすると、日本国内で甲状腺癌は多発するとでも、環境省は言いたいのでしょうか?
とてもおかしいです。A2判定=「5.0㎜以下の結節や20.0㎜以下の嚢胞を認めたもの」も、奇妙な結果が出ています。
まず福島でA2判定 5.0㎜以下の結節や20.0㎜以下の嚢胞を認めたもの
H23年度 13,459人 35.3% (検査総数38,114人)
H24年度 41,398人 43.6% (検査総数94,975人)
長崎・青森(弘前)・山梨(甲府)でA2判定 5.0㎜以下の結節や20.0㎜以下の嚢胞を認めたもの
2,469人 56.6%(検査総数4,365人)
なんと、これも増えています。福島の検査の中では、地域差や時期がずれて、このくらいの甲状腺の小さな異変が増加している可能性は考えられると思っていました。これはシビアだと。
しかし、この対照群の検査では、他の地方が、さらに多くなっている。こんな話はおかしすぎます。
詳細が出ていないので、はっきりは、わかりませんが、A2判定については、一つの可能性として、いったいどのくらいの大きさから画像でチェックして、確認をしているのかと言うことです。というか、どこからなにがあるのかと考えるかと言うことです。確認の仕方の問題です。
わかりますか。
1ミリより小さい嚢胞でも、最新機械は映ります。そうしたものから、積極的にカウントするスタンスと、そうしたものをそこまでカウントしないスタンスだけでも、おそらくずいぶん差が出ます。
実はこうしたことによるおかしな話、甲状腺検査になれていない医師などの変な診断の話は、僕は、毎日、よく聞いているような感覚です。たぶんきちんとした統一的な認識ができていません。だからずれが出る。これによって、果たして出てきたデータが妥当かを考えなくてはならないのではないか。
A2判定では、僕はそう思いました。
もっとまずいB判定が、どうして、対照群の方が、倍の確率なのかは、本当に不可解です。とても、変です。
別の観点でも言いますと、結局、甲状腺の異常は、一定の大きさの場合、細胞診で確認するしか方法がありません。しかも、事前の細胞診で、クリアだったのに、摘出後、実は癌というケースも多いのです。
とにかく、この話に関しての疑問を僕なりの考えを指摘しておきます。
実は都内で、3.11後に1000人近く見ている医師は、いわゆるA2判定にあたる嚢胞や結節は、3割程度と言っていました。
この医師は、見えるものをなんでもカウントしている感じではないです。そうするとこのくらいの割合。彼はそんなふうに話していました。
ただし、カウントしようと思えば、小さくても、なんでもカウントできるとも言えるそうです。その人、その人、見方に近い話と思います。曖昧。こうしたことが、甲状腺のエコー検査についてまわるということです。だから、わからない。
この医師はさらにこういいます。「木下さん、この対照群のB判定が1%が間違いないのなら、実は、大変な事。100人に1人は全国どこでも、一定の結節や大きな嚢胞が、未成年にでることになる。そうだとしたら、全国の子供全員に、甲状腺のエコーを受けさせないとならないかもしれない。この検査のやり方が本当に正しければそういうことになる。勿論、被曝後の日本では本当はそこまでするのが望ましいかもしれない。」
そして、僕はこの対照群検査を、なんで厚生労働省でなく、環境省がおこなっているのかなと思います。本来職務とは違う筈。そして、これを自らが、過去に進めていたことを、民主党の細野氏が昨夜わざわざツイートhttps://twitter.com/hosono_54/status/309990247758983168していました。
「私が環境大臣の時に、実施するよう指示していた調査結果が、ようやく出ました。福島県民、とくに子供の健康は私たちの責任です。すでに福島県立医大の拠点化など、様々な取り組みをスタートしていますが、これからもあらゆる努力を惜しみません。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130308-00000034-asahi-soci …」
僕は細野氏について、次のような話を書いてます。http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/7f8c0ae679dbf6781b501a112bbefdf0
安定ヨウ素剤を配らなかった判断側にいた人間、そしてそれを内心「しまった」と考えた人間が、その後、ガレキを広域拡散し、そして、甲状腺癌の対照群調査を環境省にやらせている構図です。こういう構図の時に、どのくらい妥当な話が、結果として出てくるのか、すこし考えれば、はっきりとわかるような気がします。
しかも今回は、3.11の前、危険を訴える声が抑え込みやすいタイミングで、しかも詳細データがまだ出せない状態であるとしている時期に、あえて速報値だけを出してきました。これは、記者感覚でいうと、概ねこういうことなのですが、何かの意図があって誘導したい時に、まず速報的な概要のみを知らせるパターンです。中身の内実を細かく検証させずに、大手メディアの記事を一方向にさせるのには、こうした手口は好都合です。検証して内実を調べると、速報的数値の意味合いが違ってくることはあっても、即座に対応できません。イメージ作りを優先させたい場合の、露骨な手法です。
いろんな点で、今回の流れをみなさんにきちんと考えていただきたいです。
僕は、貴女が考えてほしいと思います。
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健康被害と思われる症状が、深刻化しています。報告相談はまずメールを。
僕のメールアドレスnagaikenji20070927@yahoo.co.jp(コピーして貼り付けて下さい)
講演など、何か業務的な依頼をされたい方も原則このメール⇒電話でお話しする順番です。
事故発生当時の行動記録や数値データなどを細かく教えてください。問い合わせの内容も書いてください。 健康被害の状態を皆で共有化し、事態の推移をあきらかにしていく作業が最も必要です。
「関東・南東北の被曝エリア(東京全域を含む大半のエリア)にいる皆さんは、放射性物質の少ないエリア、できれば愛知県から西のエリアに、移住するべきです。妊婦、子供、未成年、妊娠可能な女性は優先して移住すべきです。他の皆さんも極力移住してください。被曝から二年近く経過しています。初期被曝は深刻で、慢性被曝の影響がさらに危険です。食物、飲料のみならず、吸気による被曝も軽視できません。回避する方法は限定的です。あなたやあなたの家族の命が何よりも大切です。一刻も早く移住してください。」
甲状腺の検査、甲状腺のエコー検査、さらにふつうの血液検査のうち、 血液像の検査(白血球、特に好中球)や異型リンパ球の確認、大人の女性はサイログロブリンの 数値も確認した方が良いと思います。
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