「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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僕と「日本人の心性」との闘い。東京、飲食の内部被曝だけで甲状腺癌発症リスクありと東大チームが発表。

2013-03-13 01:31:12 | 福島第一原発と放射能

事故から2年が経過して現況を語ります。残席50席(表示と違います)。  

3/20(水・祝)木下黄太講演IN横浜 「健康被害の現状と放射能防御」 

 18:30開場19:00開始(~21:00予定) 関内ホール<小ホール> 主催「横浜子供の会」 

申込詳細→http://kokucheese.com/event/index/78824/


共同通信が飲食物による内部被ばくについての東大の研究チームの発表を伝えています。下記。

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「甲状腺がん10万人に2~3人 東京でも内部被ばくの影響」

 東京電力福島第1原発の事故後1年間に摂取した飲食物による内部被ばくで、都内に住む乳幼児の場合、10万人当たり2~3人の確率で一生のうちに甲状腺がんになるとの推計を、東京大の研究チームが12日発表した。

 事故の影響が東京の子どもにまで及ぶことを示す結果。チームの村上道夫特任講師は「外部被ばくより影響は小さいが、がんの確率が高いか低いかは、人によって受け止め方が違うだろう」と話している。

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 これはまず飲食による内部被曝での甲状腺癌発症リスク。東京で10万人に2から3人。飲食物でも甲状腺癌が、これだけのリスク。もちろんヨウ素やセシウムが入っている食べ物、水によって線量換算して、内部被曝したという想定でしょう。まずこの想定が妥当なのかは不明ですが、そもそもこれには、初期被曝は入っていないだろうし、東京の環境下(土や大気)にある放射性物質を吸気や接触で被曝するリスクが入っていないのです。甲状腺癌にとって、圧倒的に大きなそうした要因を抜いて、それでもこれだけのリスクが存在するという発表が「東大」でなされるという状況です。

 しかもこれは甲状腺癌のみの話。しかも他の核種影響は考慮に入っているはずもない。

だから、僕は東京は厳しいと何度も何度も話しています。一つ一つの情報をきちんと頭で繋いでください。お願いしますから。

「関東・南東北の被曝エリア(東京全域を含む大半のエリア)にいる皆さんは、放射性物質の少ないエリア、できれば愛知県から西のエリアに、移住するべきです。妊婦、子供、未成年、妊娠可能な女性は優先して移住すべきです。他の皆さんも極力移住してください。被曝から二年近く経過しています。初期被曝は深刻で、慢性被曝の影響がさらに危険です。食物、飲料のみならず、吸気による被曝も軽視できません。回避する方法は限定的です。あなたやあなたの家族の命が何よりも大切です。一刻も早く移住してください。」 

健康被害と思われる症状が、深刻化しています。報告相談はまずメールを。  

僕のメールアドレスnagaikenji20070927@yahoo.co.jp(コピーして貼り付けて下さい)

 講演など、何か業務的な依頼をされたい方も原則このメール⇒電話でお話しする順番です。 

   事故発生当時の行動記録や数値データなどを細かく教えてください。問い合わせの内容も書いてください。 健康被害の状態を皆で共有化し、事態の推移をあきらかにしていく作業が最も必要です。

  甲状腺の検査、甲状腺のエコー検査、さらにふつうの血液検査のうち、 血液像の検査(白血球、特に好中球)や異型リンパ球の確認、大人の女性はサイログロブリンの 数値も確認した方が良いと思います。


 甲状腺関連で、アメリカからも一応気になる論文報告があります。ヨウ素やB線核種の線量が、アメリカの中で大きかった太平洋側の五つの州で、先天性甲状腺機能低下が36症例(2011/3/17~12/31)ありました。2010年の同期間と比較すると16%増加です。ただし実数は5例程度増加したにすぎません。他のアメリカの州は3%位減少しているそうです。www.scirp.org/journal/ojped/ の掲載論文より。ただし、この位では、疫学証明は極めて難しいレベルと思います。実数が少ないし、まだ増加率が大きくない。

 ただし、北米でこの程度の被害が、もしもリアルにそうあるなら、甲信越や中部・北海道のエリアでは、もっと明確に先天性甲状腺機能低下は出てもおかしくない気がします。関西も、この五州と同程度位は、おきてもよいような気がします。

 

 ところで、ぼくが大学時代に授業を聞いたことのある映画批評家の梅本洋一さんが急死されたそうです。虚血性心不全というのが死因。通常は心臓の急死をさします。60歳。面識のあるとまでは言えないけれども、実際に顔を知っている方の、突然の死が聞こえてきたのは、3.11後、僕には初めてのことです。ご冥福をお祈りいたします。

 

 さて、僕は、原発事故当時、いろんなことを考えたけれども、少なくとも、3/14の爆発以降に、テレビ局がスタンスを変えることはできたと思います。僕は、それが出来なかったから、三連休前に離れ、この活動を続けている。この観点では、僕は戦犯と認識しています。

 実際に、もっと明確な被害、更なる大爆発で手が付けられない事態も想定されました。格納容器が持たないなど。幸いこれは回避されているが、実際は、一瞬で漏れたのか、ずっと漏れ続けているのか、そこにしか違いはない状態と思います。

 放射性物質に取り囲まれた環境で生きるのか、そうでない環境で生きるのか、これは個人個人が選択するしかないです。誰かが助けてくれるものではない。国も東電もマスコミも悪いが、自分の人生は自分で切り開くしかない。これが僕は本質と思う。

 僕自身はそうした環境は嫌だし、放射性物質に取り囲まれた環境で生きる感覚はない。

だから闘いは続いています。

この二年の時間の経過は、いろんなことを教えてくれました。

 一番明確になったことは、70年近い時間の経過と、戦後の体制の変化と関係なく、日本人というのは、暗黙の大きな流れに支配され、リアルをシビアに見つめず、さらには異論を言う者を追いやり、さらに弾圧も加える国民性が不変であること。多分、日本人というスタイルは、こうした感覚を共有化する者たちの集団なのだろうと思います。

 しかしシビア・アクシデントの場合、こうした感覚はほぼ役に立たずに、どんどん全体的な壊滅に向かう可能性が高いのです。戦前の日本でも、こうした懸念を口にすることが糾弾される構図はまさに同じでしかない。

 これはガレキ問題の過剰な逮捕、不当刑事告訴という流れで、再認識しました。

 しかも、健康被害に関して、過小評価を政府、行政、大半の専門家や医師が、共謀共同正犯として行っていて、マスコミが追認装置として機能していることはさらに致命傷となります。それによって、どれほどのマイナスがおきるのかということを、無視し続けているのですから。 そして、これが福島のみならず、首都東京で想定されるのです。

 このことに、日本人の一定数が異議申し立てをしていけば、大きく状況は変わるのですが、99%の日本人が誤魔化して生きています。その誤魔化しによって、自分たちや自分たちの大切な人間が傷つくことも、事実上容認しています。さらにその誤魔化しはおろか、異議申し立てを、精力的に潰す輩も一定数は、存在しています。

 こうした中で、新しい日本の在り方を想定するのが極めて難しく、どこまで防備をしながらこの時代の日本で生きていけるのかどうかを、連日考えないとならなくなっています。汚染の回避のみならず、この状況に認識があることが、非国民として、規定される状態は継続していて、極端な政治主張扱いとされる日本です。

 実は二年の時間が経過して、いまだに僕も有効な対応策を想定できていません。少なからず、国外に道を探す方がいるのも、理解できます。実際、経済的な問題もおきたウクライナなどでは、国外に移民が増えました。日本の場合は、この「日本人という心性」と分かり合えない僕の葛藤が続くでしょうから。ただ言えることは、リアルはリアル。現実は現実。いつまでも隠しおおせませんし、誤魔化せません。誤魔化せなくなった時に、物事は大きく変化します。大概。日本という国におきることは、残念ながら、いつもいつも同じことです。そして、殆どの人々はそれまで目を瞑って暮らします。大概は無自覚に。

僕はこの「日本人という心性」と闘い続けます。これが僕の生き方の流儀です。

貴女はどうしますか。どう生きますか。

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「チェルノブイリのかけはし」の野呂美加さんが、あまりにも面白い文章を書いておられます。現在の日本の状態が、かってのチェルノブイリ支援でも似たようなことがあったといいます。僕も知らない時代の皮膚感覚のある話。そして、人とはおよそどういうものなのか、参考になります。リンク元に全文がありますから、そちらを必ずご参照ください。

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「運動に愛があるか」

3月 12th, 2013 

 

「保養運動なんて、差別!」
「保養運動なんて、効果なし!」
として、さまざまなチェルノブイリの救援団体から、かけはしをはじめとする保養団体はバッシングを受けました。
この話を思い出すと、個人的な怒りから何からどんどん出てきてしまって、冷静に整理するのが難しかったものです。
「薬を送る運動」以外は認めない。(当初は医薬品メーカーの回し者かとおもったけれど…)
当時は、学生運動くずれとか、プロの工作員とか、組合とか、日本で市民が自由に運動しにくい圧力は確かに強かったのです。
医師たちの救援こそ、華!であるとして、現地に行く医師たちにはこの人たちはペコペコしていた。
そして、保養のような意味のわからない運動はつぶす!
自分たちの意にそわない運動はつぶす!と徹底的バッシングキャンペーンをしていました。
ときには、チェルノブイリの団体があつまった会議で、「医療援助以外」はくず、辞めろ!まで言った医師もいました。
しかし、フクイチ事故が起こってから2年。
その結果、チェルノブイリの活動をしていた団体が、「ゲっ」と思うようなことをしているのを見かけて、絶句する。
ベラルーシ基準をいきなり持ってきて、食品測定器で福島の野菜を測定して、いち早く応援野菜を始めた。
あそこがやるならいいか…。と誰もが応援野菜を認めた。
何よりも、ベラルーシの医師を育ててきた山下医師が、でたらめを言っているのがいちばん、驚いた。
おいおい、なんのために、あれだけ薬を救援していたんだい?
最初は救援だ!と大慌てでとるものもとりあえず、みなウクライナやロシアに薬を運んだけれど、もちろん、この上のない感謝をいただき、そしてあまりに旧ソ連の官僚国家のボロボロなだめだめ度がまるみえて、義侠心が刺激されたでしょう。
多くの芸能人が現地に行ったり、日本でチャリティーコンサートもしたり…。
そとめには、「いいことをしている」というレッテルがはられていくうちに、次第に自分たちに別の「地位」のようなものができてきてしまいます。
その界隈でしか通じない、妙な、名誉です。
そのために、「ご意見番」になったり、「市民運動警察」のようになったりします。
今は、山下医師をはじめとするエートスグループがやってきて、旧知のチェルノブイリ救援グループがボワボワしている。
彼らはベラルーシにもネットワークをもっているから、つながりあえば、強大な力をたくわえることができます。
救援していた医師は菅谷先生以外はどうしちゃったの?山本太郎以外の、チェルノブイリ救援の芸能人はどうしたの?
広河隆一さんは、沖縄に保養所をつくってくれたり、いろいろな母親たちの運動をサポートしてくれている。
秋田でがんばってくれているチェルノブイリ救援グループと中村隆一さん。
それ以外はみんなどうしちゃったの?
まだ、みんな気がついていない。
それもしかたないでしょう。
今、事故のときに動き始めたグループが同じように崩壊をはじめていると思います。
それを嫌なことと思わないで、なんとかひきとめようとしても、川の流れにさからっているようなものです。
そのグループでさまざまな活動もしたでしょう、時間もエネルギーもささげたでしょう。
でも、寄らば大樹の陰、のような気持ちが自分に芽生えたら、ときには、たった一人になってみるのもいいのです。
チェルノブイリ救援グループでさえ、このありさまです。運動というのは直線的にいかない。
「らせん」なんです。
今はエートスだとか、いろいろあるけれど、いいんです。というのは、無自覚にひっぱられる人が何割がどうしても出てくるから。
それを暴き出したり、すると逆襲を受けるだけ。
3.10でデモにきて、運動を押し上げているつもりで、エートスで足をひっぱっているという団体もあるでしょう。
でも、チェックしきれますか?
私はこちらが多く見えるならあの日はそれでいい。エートス15%入っていて、だいたい健全ぐらい。
集会で引っかき回されそうになったら、そこにこそ、本領発揮で追い出すか、数の力で暴言をはかせないようにするほどのパワーをつけるしかないのです。
排除しきったら、運動がファシズムになるから。

(更に続く・・・・)

⇒この全文は「チェルノブイリのかけはし」のHPhttp://www.kakehashi.or.jp/?p=8199でご覧ください。面白い。