俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

突然変異

2014-02-01 09:59:49 | Weblog
 突然変異は遺伝子のコピーミスでありランダムに発生する。そして殆んどの突然変異はその生命体にとってマイナス要因となる。それは素人が機械の配線をいじるようなものであり、それによって改善されることは殆んどあり得ない。正常に稼働している機械の配線を変えれば故障してしまい、それによって機能が向上することは無かろう。
 動物の体も精密機械のようなものであり突然変異のような偶然で機能が高まることは殆んど考えられない。あり得るとすれば関節が柔らかくなるとかリミッターが外れるとかいった類いの変異だろう。しかし関節が柔らかくなることによって不都合も生じるだろうしリミッターの解除は生命の危険を高めることになるだろう。個体内で最も頻繁に現れる変異は癌細胞化だろう。正常細胞が癌細胞化することによるメリットは何1つ思い当たらない。脳腫瘍ができた場合に異常行動が現れることがあるのはそれが機能の低下を招くからだろう。脳腫瘍のせいで賢くなることは殆んど無かろう。
 突然変異の99.9%以上が出来損ないであり殆んどがすぐに淘汰される。突然変異による進化は極めて非効率だ。生物の多くはオスとメスの交配を通じて進化する。つまり生存力を損なわない程度の微小な変異体同士での交配であれば徐々に改善が進み小さなモデルチェンジの末に変革が起こり得る。多くの生物にオスとメスがあるのはそのほうが進化と適応のために好都合だからだ。
 ではなぜ細菌やウィルスが進化するのだろうか。彼らは環境さえ良ければ猛烈な早さで増殖する。20分ごとに倍増する大腸菌もいるそうだ。仮に99.9%の変異体が出来損ないであろうとも0.1%が適応できればそれが最適者として増殖する。つまり下手な鉄砲も数打てば当たるという戦略だ。そして多分、接合という手段で遺伝子交換をして有性生殖に近い方法も採り入れて自らを変異させているのだろう。

科学

2014-02-01 09:27:24 | Weblog
 小保方晴子氏らによるSTAP細胞の発見は快挙だ。そしてそのこと以上に素晴らしいと思うのは科学というシステムだ。一旦「過去何百年にわたる細胞生物学の歴史を愚弄する」とまで酷評した研究を、その後それが正しいと分かれば絶賛するという公明正大さは人文系の学問では全く見られない。学問だけではない。マスコミも誤報を訂正せずに嘘に嘘を重ねて糊塗しようとするばかりだ。科学だけが事実を正当に評価する。科学が自然に対して謙虚で忠実であるように我々も事実に対して謙虚で忠実でありたいと思う。
 巷には贋科学が溢れ返っている。できもしない地震予測を公表する地震学者、オカルトに近い地球温暖化論、健康人を病人にする医療と薬、ダイオキシンや環境ホルモンの馬鹿騒ぎ、こんな贋科学が横行している。科学が何たるかを知らない人が金儲けのために贋科学をバラ撒いている。この際、科学の棚卸をして何が科学で何が科学でないかを明確にする必要がある。
 科学は最低限「再現可能」かつ「反証可能」でなければならない。私が列挙した贋科学はどれもこの条件を満たしていない。但し医療については特殊な事情がある、実験ができないということだ。仮に画期的な治療法が見つかってもそれを人体実験することはできない。そのために画期的であればあるほど導入できないというジレンマに陥る。しかしせめて有害な医療をやめることぐらいはできないものだろうか。傷に対する消毒や風邪に対する解熱剤の有害性はかなり広く知られるようになったが今なお続けられている。いくら医療が科学たり得ないという宿命を背負っていても、可能なことから少しずつでも見直すべきだろう。そうすれば医療も少しは科学に近付けるだろう。