俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

物語性

2014-02-09 10:15:23 | Weblog
 「モノではなくコトが大事だ」と言われた時代があった。単なる物ではなくその背景をも知ることによって感動が生まれると言われたものだがそれが招いたのは唯の権威主義だ。物の良し悪しを判定できない人が物語性だけで評価する馬鹿げた大衆文化だ。
 有名ブランド、カリスマ○○、ノーベル賞・アカデミー賞・芥川賞、金メダル、そして全聾の作曲家、こんな物語性だけに頼った商品に踊らされた消費者こそ阿呆だ。自分で良し悪しを判断できないから権威にすがり無駄な消費をする。ステーキと信じて加工肉を食べていた人が騙されたと騒ぐ。消費者庁の役人はサケとマスを区別できるのだろうか。
 商品であれ音楽であれ誰の作品であるかに関係無く良いものは良い。ビートルズは大々的に偽装をしていた。作詞・作曲レノン&マッカートニーという嘘だ。なぜこんな嘘を使ったのか分からないが、実際にはジョンかポール個人の作品であり共作は殆んど無い。ファンは誰の作品かなど気にせずに好きな曲を選んだ。私は未だかつてこの「偽装」に怒った人を一人も知らない。
 発言で重要なのは誰が言ったかよりも何を語ったか、だ。著名人の発言なら大騒ぎして、無名人ならたとえどんなに素晴らしい発言であろうとも無視をする。是々非々の姿勢は全く見られない。言論の世界も権威主義だ。芸能人の著書は大半がゴーストライターによるものだろう。マスコミはこれも偽装として騒ぐべきではないだろうか。
 新聞の科学記事では専門家盲信で無知を曝け出す酷いものがしばしば見受けられる。公的機関の発表を、科学に疎い記者が垂れ流しにするからだが、俄仕込みでも構わないから少しは勉強したらどうかと思う。歴史に関する嘘については確信犯なのか騙されているのか本気で信じているのかは何とも判別し難い。

種の変異

2014-02-09 09:41:43 | Weblog
 漫画の「ドラゴンボール」のサイヤ人は死にそうなほど酷い目に会うと格段に強くなるという設定だが、生物には本当にそんな特性が備わっているのではないかと思う。こんな妙なことを書くのは最近2つのことを知ったからだ。
 1つ目は今年最大とも思える大事件で過去何百年の細胞生物学を根底から覆すかも知れない小保方晴子氏らによるSTAP細胞の発見だ。弱酸性液に浸けるなどのストレスを付加するだけで体細胞が万能細胞に変わるなんて考えられないことだ。
 もう1つはベニクラゲという動物が生命の危機に瀕すると一旦体細胞を崩壊させた上で万能細胞に戻って再生するという俄かには信じがたい話だ。
 体細胞がストレスによって万能細胞に変わるのなら、元々万能細胞である生殖細胞がストレスによって影響を受ける可能性は充分にある。
 自然状態では突然変異は滅多に起こらない。それは既に適応しているから変異の必要性が少ないからだろう。既に適応していれば変異の少ない個体が適者であり変異の多い個体は不適者として既に淘汰されているのだろう。だからこそ放射線を当てたりして無理やり突然変異を起こす実験が行われている。
 ではなぜ放射線を当てれば突然変異率が高まるのか。通常、放射線がDNAを破壊するからと説明されているが、ストレスが生殖細胞の変異を促しているからではないだろうか。種の絶滅に瀕するほどに環境が悪化した時には生殖細胞が変異して次世代において突然変異が顕在化しているように思える。つまり強いストレスが生殖細胞を奇形化するということだ。
 変異しない筈の体細胞でさえストレスによってSTAP細胞や癌細胞に変異するのなら、元々変異し易い万能細胞である生殖細胞はストレスによって容易に変異し得ると思う。
 環境に不適応なままでは滅んでしまうが、たとえ大半が不適応になろうとも変異することによって適応できる個体も生まれ得る。極悪な環境になればそのままでは絶滅する。そんな時には生殖細胞がストレスによって変異して様々な突然変異体が生まれる。変異しなかった者や殆んどの突然変異体は淘汰されて、環境に適応できたごく一部の変異体のみが生き残る。これが種の絶滅と新種の誕生であり、進化とはかくも過酷なものなのだろう。もし適応できる変異体が生まれなければその種の系譜はそこで途絶える。