俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

次世代

2014-02-03 10:00:06 | Weblog
 次世代にツケ回しをしてはならないものが2つあると思う。1つは借金でありもう1つは環境破壊だ。
 個人の借金であれば相続を放棄することができる。しかし国債などの国の借金を相続放棄することはできない。確実に次世代にツケ回しされる。現世代が作った借金を次世代に支払わせることは不当だ。
 福島第一原発の跡地は何年ぐらい利用不可能だろうか。百年か千年か私は知らない。現世代が犯した失敗のツケが次世代あるいは次々世代に繰り越される。
 他の原発の跡地はどうだろうか。やはり百年ぐらいは利用不可能だろう。だからと言って即時原発廃止と言いたい訳ではない。既に作ってしまった物は可能な限り使うべきだろう。そうしないと原発跡地だけではなく原発のための借金まで次世代に背負わせることになる。今後は作るべきではない。
 公害も次世代にツケ回しされるだろう。現時点で分かっていない環境破壊は決して少なくなかろう。人は今危険なものには敏感だが将来危険になるものには無関心だ。大して危険でないダイオキシンや環境ホルモンなどに馬鹿騒ぎするよりも本当に危険なものを直視すべきだ。その意味で中国の大気汚染は国家による国際犯罪だ。
 ここでまた多数決という制度の不備について触れたい。多数決は現代の世代だけで決める。将来の世代は未だ生まれていないのだから投票権を持たない。将来の世代には何の権利も無い。だから平気でツケ回しが行われる。仮に現代人全員が幸福になれることであろうともそれが将来の世代の不幸を前提とするものであればやるべきことではない。多数決は未だ存在しない将来世代に充分配慮すべきだ。

不妊

2014-02-03 09:30:14 | Weblog
 最近、不妊の原因の半分近くが夫にあると聞いて大いに驚いた。妊娠のために必要な能力のレベルは男女で全然違う。男性は精子を放出できれば良いだけだが女性の役割は非常に多い。その違いは電卓とパソコンほど懸け離れている。複雑な役割を担う女性に不妊の原因の大半があると思い込んでいた。
 動物におけるオスの役割は「変異」することだと思っている。妊娠・出産という大切な役割を担うメスと比べてオスの役割は少ない。だからこそ様々な実験体が可能だ。オスはメスと比べて個体ごとのバラ付きが圧倒的に大きい。しかしその変異はランダムに起こるので大半がその個体にとっては有害だ。オスの寿命がメスよりも短いのは有害な変異が多いからだろう。
 公立の小学校であればクラスで最も背が高いのも低いのも、騒がしいのも大人しいのも、足が早いのも遅いのも総て男児だろう。オスがバラ付くことによって、環境が変化しても適応できる潜在的適者を用意する。これは同時に顕在的不適者の大量生産でもある。選別される側であるオスのバラ付きが大きければ選別する側のメスとしてはメリットが多い。クジャクのように尾羽の立派さだけで選ぶなら有難味は少ないが、人類のように容姿・体力・知力など様々な基準があればメスは好きな適者を選べる。このことによって動物としての多様性が高まる。犬は小さな個体差の積み重ねだけであれほど多様化した。
 こういう事情からオスのバラ付きが大きいことは生物としては理に適ったことだ。しかし生殖能力までバラ付いているとは思わなかった。パソコン並みに故障する電卓が存在するとは殆んど信じられないことだ。オスの能力のバラ付きは進化のために必要なことだが、バラ付きの幅が大き過ぎて人類あるいは社会にとって有害な個体が少なくないのかも知れない。自然淘汰や社会淘汰だけではなく女性の選別力に期待せざるを得ない。