俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

無責任野党

2014-12-04 10:29:27 | Weblog
 衆議院選挙の候補者を見て、改めて民主党は政権与党どころか責任野党でさえないと思った。マスコミが指摘するような、全員当選しても過半数に満たないということではない。戦うべき選挙区で戦わないからだ。
 まず安倍首相の山口4区だ。ここには共産党と無所属の新人しか立候補していない。確かにここは勝てない選挙区だろう。しかし敵地でこそ批判をすべきだ。海江田代表は安倍首相を口汚く罵っているが、負け犬の遠吠えとしか思えない。「アベノミクスは10年古い」と言うがそれ以下だったのが民主党政権での経済政策だ。円高を是正しようとして無意味な為替介入をした挙句、全く成果を残せずに大失敗したことを国民は忘れていない。それでも対抗馬を立てて批判勢力の結集を図るべきだろう。無条件降伏をして当選を黙認しておきながら偉そうなことを言うなと思う。
 もう1つは小渕優子氏の群馬5区だ。なぜ社民党と共産党の新人しか立候補をしていないのだろうか。これは野党乱立による共倒れを防ぐために一本化したのではあるまい。勝てる候補者がいないから立候補を見送っただけだろう。しかしもし政治と金の問題が重要であるなら、全力を挙げて潰しに行くべきだ。大物政治家を落下傘候補にしてでも倒しに行くのが筋だ。争点として問題提起をして乱脈経理を再告発すべきだ。候補者を立てなければ住民は選択肢さえ持てない。それをしないし、できないのであれば民主党は責任野党ではない。与党を国会で非難するだけの無責任野党だ。政党でさえなくただの評論家だ。
 元・大阪市民として維新の党に期待したいところだが、これまただらしが無い。橋下市長が公言しているとおり、公明党とは因縁がある。前回の選挙では協力したにも拘わらず裏切られたからだ。それなのに大阪府で公明党からの立候補者がいる選挙区への対立候補擁立を断念して無風選挙区にしてしまった。関西に住んでいないので経緯はさっぱり分からないが残念でならない。公明党(創価学会)の組織力を恐れてのことだろうか?
 安倍首相が勝手に解散させたということで野党は被害者意識丸出しでありしらけムードだ。しかし政治家がしらければ有権者はもっとしらける。投票日直前に何らかの神風が吹くこともあり得るのだから、最初から負け戦と決め付けて手抜きをするのではなく一矢を報いる覚悟が欲しい。そうでなければ約700億円の選挙費用がムダ金になってしまう。野党がやる気を見せなければ自民党が増長するばかりだ。

逆因果

2014-12-04 09:47:47 | Weblog
 因果関係があっても逆因果は必ずしも成立しない。このことは意外なほど知られておらず、逆因果が無邪気に信じられ勝ちだ。
 原因が無くなれば結果も無くなる。これは正しい因果律だ。しかし結果が無くなれば原因も無くなるという逆因果は成立しないことが多い。
 「引力があるからリンゴは木から落ちる」は正しい因果律であり「引力が無ければリンゴは落ちない」も「リンゴが落ちなければ引力は無い」も「リンゴが落ちるなら引力がある」も正しい。しかし「腐った物を食べれば下痢をする」ならどうだろうか。対偶である「下痢をしないのは腐った物を食べていないから」なら正しいが「下痢をしなければ腐った物を食べない」や「下痢をすれば腐った物を食べる」といった命題はは明らかに間違っている。あるいは「腐った物を食べなければ下痢をしない」も必ずしも正しくない。過食やアレルギーなどによっても下痢は起こる。私がヒステリックなほどに対症療法を非難するのは誤った論理が使われているからだ。
 悪い物を食べれば下痢をするが、下痢を止めても腸内の有害物は無くならない。風邪をひいたら熱が出るが、熱を下げても風邪は治らない。何らかの病気のせいで血圧が上がるが、血圧を下げても元の病気は治らない。こんな当たり前のことを理解せず、無茶苦茶なことが医療の世界では行われている。医療は科学ではなく今尚、祈祷術にも等しいレベルだ。
 私がアイシングに疑問を持ったのは、なぜメジャーリーグの日本人投手は肩や肘を頻繁に傷めるのか、とふと思ったことがきっかけだ。
 筋肉や関節が傷付くと自然治癒力が働く。患部が腫れて血流が増え熱を持つ。血流が増えれば自動修復作業が行われる。これが自然治癒のプロセスだ。ところがアイシングをすれば患部が腫れない。患部が腫れなければ非常時のための修復機能が働かず通常状態のままだ。これでは筋肉も関節も自動修復されない。
 スポーツ医師は患部が腫れれば「炎症を起こした」と考える。つまり腫れを障害と考える。腫れを予防すれば傷を防止できると信じる。これは大間違いだ。腫れは自然治癒力の発動だ。腫れることによって血流が増えて傷が修復される。自然治癒力の妨害にしかならないアイシングは傷を温存させることになる。
 以前にも使った比喩だが、火事になれば消防車が来る。火事と消防車には因果関係が成立する。火事が原因であり消防車が結果だ。原因である火事が無くなれば結果であるる消防車も無くなる。しかし結果である消防車を無くしても火事は無くならない。結果が無くなっても原因は消滅しない。こんな簡単なことを理解せずに、対症療法に基づいて自然治癒力を攻撃するから却って病気や傷害を悪化させる。患者は医療によって治されているのではなく、デタラメ医療による攻撃を克服して自然治癒力によって治っている。克服できないほど酷い攻撃であれば重篤化して時には死に至る。