俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

分散投資

2015-04-03 10:23:36 | Weblog
 投資は分散するのが常識とされており、いつも非常識なことばかり書いている私もこの鉄則には従っている。国内預金、外貨預金、株、金地金などに分散して投資している。退職金の一部を投資信託に当てたがこれは失敗したので今は持っていない。
 最も多いのは外貨預金だ。これは米ドル、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドルに分散していたが、米ドルとユーロはレートが良い時に解約したので、今は高金利の豪ドルとニュージーランドドルだけだ。
 株については無節操なほどバラバラに投資している。これはそれなりに理由があってのことだ。株の将来価値など誰にも分からない。超優良企業と思われた日本航空が倒産したことを考えればどの企業がどうなるかなど分かったものではない。だから比較的有望と思える企業に、業態を問わず分散して投資している。分散するメリットは安全性だけではない。大化けする企業もたまにはある。私が持つ株で一番値上がりしているのは王将フードサービスで取得価格の3倍以上になっている。最悪はNTTだがそれでも3割程度の含み損に過ぎない。株は10勝10敗であれば大抵儲かる。たとえ100万円の株が半額になっても、別の100万円の株が倍額になれば差引50万円の儲けになるからだ。
 究極の分散投資は、国を二分する内乱での分散だろう。どちらかに付いて負ければ一族が滅ぶ恐れがある。保元の乱では源氏も平氏も、後白河天皇側と崇徳上皇側の双方に分かれて戦った。関ヶ原の戦いで真田家は、長男の信之は東軍、次男の幸村は西軍で戦った。たとえ一族同士で戦うことになっても全滅よりはマシだ。
 農業でも同じ品種に偏ることは危険だ。19世紀のフランスではブドウメアブラムシによってブドウがほぼ全滅したし、アイルランドでは胴枯れ病によって主食のジャガイモが大凶作になり100万人以上が餓死した。日本でも平成16年には鳥インフルエンザによって滅んだ養鶏場があり、平成22年には宮崎県の牛が口蹄疫によって大打撃を受けた。
 恐竜が絶滅したのは、当時の環境に過度に適応していたために気候変動に耐えられなかったからだろう。これは人類にとって大きな教訓だ。同質化は絶滅を招きかねない。「選択と集中」ではなく「分散と多様化」こそ生き延びるための鉄則だ。

中国の宗教

2015-04-03 09:42:49 | Weblog
 中国の国教は儒教だ。これはマルクシズムと共存できる珍しい宗教だ。マルクシズムが科学的社会主義を標榜する宗教であるように、儒教も合理性を装う宗教だ。「論語」に「怪力乱神を語らず」と記されているように、儒教は超自然現象の存在を認めない。しかしその本性は「孝」と「祖法」を極度に重視する懐古主義的な倫理思想だ。結局、超自然の代わりに歴史を理想化して盲信しているに過ぎない。儒教の理想は堯・舜による「徳治」であって法治ではない。儒教を宗教から区別するために最近の中国では「儒学」と呼んでいるらしいが哲学ではない。宗教だ。
 儒教とマルクス教という2つの宗教を国教とする中国で他の宗教はどう位置付けられるだろうか。中国史において新興宗教団体こそ最も危険な集団だ。後漢が滅ぶきっかけとなった太平道による黄巾族の乱、元を滅ぼした白蓮教徒による紅巾の乱、清末における太平天国の乱や義和団事変、これらの記憶は中国人の脳に深く刻み込まれている。
 13世紀頃まで世界の最先端を走っていた中国文明がなぜ停滞したのかは世界史で最大級の謎であり、私のような門外漢に解ける問題ではなかろうが、敢えて挙げるなら①異民族による支配②競争相手の無い巨大国家③儒教の弊害、ではないだろうか。
 日本の江戸時代にも朱子学の悪影響があり、開国を迫られた幕府は祖法を根拠にして拒み続けた。儒教は過去を絶対視して新しい思想を拒絶する。新しい思想や異質な思想を拒絶するのだからチベットの仏教徒やウィグルのムスリム(イスラム教徒)と融和することは不可能だ。
 現代中国を覆っているのは合理性の仮面を被った2つの宗教、つまり儒教とマルクス教だ。この教義に背く思想は排斥される。チベット人やウィグル人が迫害されることは必然であり、内紛が続くことは避けられない。思想的に相容れない民族を無理やり支配しようとするのは資源を収奪することだけが目的だからだろう。
 ウィグルでは信じられないほど多数の死刑が執行されているらしい。国家機密とされているから推測の域を出ないが、13年に中国全土で2,400人が死刑にされたと言われている。02年には12,000人だったそうだ。文化大革命における死者は更に桁が違うようだ。中国共産党はナチスをも上回る「民族浄化」を企んでいるのではないだろうか。