筆塗り馬鹿の私ではありますが、どんな筆を使っているのか興味を持っていただいている方もいらっしゃるようなので、ちょっと説明させていただこうと思いました。
お見せするほどでもないような気がしないでもないですが、日頃よく使っているのを勢揃いさせました。
1番と2番がベタ塗り用の平筆です。
1本100円ぐらいの極普通の安物筆です(確かタミヤの一番安い筆)。
毛足の色が茶色っぽいナイロン毛の筆は毛質が硬くてイマイチに感じるものが多いです。
平筆の大小は当然塗り面積によって使い分けていますが、よほどの広さじゃない限り細い方の1番を使ってます。
前回記事のソミュアS35砲塔部の迷彩も1番の平筆を使ってました。
逆にこれくらいの細かさでも、この1番平筆でなんとかなります。
ベタ面の筆塗りを綺麗に仕上げるには塗膜を必要以上に乱さないというのが大事な点だと思ってます。
因みに私が思うベタ塗りのコツは以下の3点です。
- 筆に一度に含ませる塗料の量に気を付けること。(適量の判断は人それぞれになるかと思いますが、多く含ませ過ぎるとその分塗膜を弄ってしまうからです。)
- 複数回の重ね塗りを前提として、1回の塗りは手早く済ます、目先のムラは無視すること。
- 重ね塗りは下層の塗膜がよく乾燥してから行うこと。
3番:ご覧の通り極細面相筆。フィギュアもこれを使ってます。
毛のまとまりが悪くなりつつあるので、そろそろ更新時でしょうか。
細い面相筆は毛足が長い方が塗料の含みが良くて使い易いです。
4番:少し太めの面相筆。これはこれで汎用性が高いです。
面相筆もさほど高級なものは使ってませんが、さすがに安過ぎる筆は良くないですね。
5番:これは1番の筆がただボロくなっただけの筆です。
使い込むうちにナチュラルにボカシ筆の毛先形状になってしまったので軽いボカシ用に使ってます。
6番:ゴッドハンドとかいうメーカーの「神筆ドライ用」。
手持ちの筆の中で一番の高級品(1500円くらいだったか?)です。
迷彩の境界線ボカシ作業などにかなり重宝します。
下の写真の車体側の境界線にご注目。
ボカシてるのかボカシしてないのかわからないくらいでボカシてます。
普通の塗り分け方より自然に見えているのではないかと思います、自画自賛ですが・・・(笑)。
わかりにく言い方になりますが、この筆はドライブラシというより半ドライブラシ的な使い方で威力を発揮します。
ボカシ用にはこれ以外に100均のアイシャドウブラシも意外に使えたりします、耐久性はないですが。
因みに砲塔迷彩の黒いフチは3番の極細面相筆で書き込んでます。かなり応用範囲の広い筆です。
7番~9番:この3本が松本州平のドライブラシ。買ってから30年くらい経ってるような・・・。
一番細い9番はずっと昔にボカシ用途で使い過ぎて毛先がすっかり短くなりました。短くなるのは毛先が乱れて来た時に切り揃えたりするからです。
最近では迷彩のない単一色塗装時の退色表現用などに一番太い7番をよく使ってます。
エアブラシなら透かし吹きと呼ばれる技法がありますが、筆塗りでは不可能なのでドライブラシで代用する事になります。ニュアンスは相当異なる事になりますが・・・。
ドライブラシ効果が最も強く表れるのもこの一番太い7番の筆です。
かなりくたびれて来ましたが、代替え品が未だに見つからないのが辛いところでもあります。
毛先を似た形状にカットした筆がドライブラシ用と称して販売されておりまして、いくつか買った事がありますが、どれもこれも毛質が硬過ぎて使い物になりませんでした。
10番:極細の平筆の毛先をちょん切ったもので、ボカシ用です。
11番:細目の丸筆の毛先をちょん切ったもの、これもボカシ用。
5番、6番を含め、ボカシ方の程度によって使い分けてますが、どれをどういう場合に使うかは自分でもよくわからない時が多く、今のところは気分によってとしか言えなかったりします(汗)。
以下、参考例です。
写真に撮るといつもわかりにくくなってしまうのですが、ベタ塗りの1回目はだいたいこんな具合です。
重ね塗りを行うとご覧の通りムラが消えています。
ウェザリング前提の戦車の場合は2回の重ね塗りで大概は大丈夫です。
↓これは重ね塗りを行って迷彩の境界線を整える前の状態。
↓境界線をぼかしました。ウェザリング前なので割と粗が見えます。
ウェザリングを行いました↓。
ヘヴィーウェザリングに拘る理由がとてもよくわかりますね(笑!)。
ピカピカのカーモデルの塗装をどうすれば良いか、そのうち実験したいと思いつつ・・・。
いつもいろいろとありがとうございます。
ようやくエアブラシコンプレックスを卒業できそうな私です(笑)
なので、達人と言われるのはこそばゆ過ぎです。
それはさて置き、貧乏性なので基本は安物の筆ばかりなのですが、
ゴッドハンドの神筆ドライ用だけは例外で持っておく価値があると思います。
ボカシ用途としては最高に扱い易いです。
装備品のハイライト付けには最適じゃないかと思います。
高いと言ってもヨドバシで1400円くらいでしたから。
一口にドライブラシと言っても筆の違いだけでなく、筆に残す塗料の量によって表情がまったく変わってきますので、いろいろ試行錯誤されると面白い発見が増えてくると思います。
たとえば記事中のクロムウェルの場合はほとんど限界まで塗料を落としてから擦り付けてます。
一方ソミュアS35の車体迷彩の場合はかなり塗料を残した状態で擦るというより塗る感覚に近い感じでやってます。
ルクレールのNATO迷彩はその中間という感じです。
動画でお見せできればわかりやすいのだろうと思いますが、その方面のスキルが足りず申し訳ありません。
ま、でも案ずるより産むが易しで少し試行錯誤されれば感覚的にわかってくると思います。
残念なのは松本修平のドライブラシが今はもう手に入らないことで、代替え品を早く見つけたいのですが・・・適度な太さで毛質が細くて柔らかくしかも密度が高い丸筆が見つかれば・・・画材店も覗いたりしてはいるのですが・・・。
ベタ塗りはとにかく手早く塗膜を乱さないというのだけ心がければ大丈夫です。
hajimeさんならエアブラシと筆塗りのいいとこ取りで無敵の塗装が出来上がりますね。
ケースバイケースだと思いますが、筆塗りは少なくとも道具のメンテが楽ですから、うまく使い分ければ効率的な塗装作業が出来るのではとも思います。
興味津々のことを詳しくご紹介していただき感謝感謝です。
やはりあれだけの作品を完成させるためには、目的にあったそれぞれの筆を使い分けていらっしゃるのがよくわかりました。
タミヤアクリルのベタ塗りは以前に紹介されていた記事がとても為になり、おかげさまで実践しております。今回はさらに深堀されて、わかりやすく重要なコツをまとめられていて助かります。
そして境界線のボカシ方、とてもためになりました。完成した状態を見るのではなくその過程を惜しみなく披露していただきありがとうございます。7〜9番の筆でこれほど自然にボカシが出来るとは驚きです。
ドライブラシの高度テクニックだと勝手に思っていますが、到底私にはできそうもありません。しかしこのテクニックは、たとえば装備品のハイライトとしてなんとか使えないかなあと思っています。
改めて筆塗りの奥の深さを知ることができ、驚きとともに感謝しております。
わかりにくい記事で恐れ入ります。
多少なりともお役に立てたなら私も嬉しいです。
動画でお見せ出来れば良いのかもしれませんが、環境的に難しい部分もあり・・・申し訳ありません。
>毛が硬すぎるのは駄目というのは同感です。<
みなさん、割合同じ感覚を持ってらっしゃるようですね。
とするとメーカーの感覚はかなりズレてるというかユーザーをあまり顧みてませんよね。
模型道具売り場には毛質の硬すぎる筆がどう考えても多過ぎるのではと・・・。
そんな中、ゴッドハンドの神筆シリーズはなかなか良さそうな気がします。
ま、お値段高めなので良くないと困りますけどね。
>やってみる勇気が出てきました。<
ありがとうございます。そう言っていただけると記事にした甲斐があったというものです♪。
確かに少なからず慣れは必要かと思います。でも大袈裟ですが、諦めなければ何でも出来るのです。
エアブラシの上手な方が筆塗りに慣れると、また一段違った味わいを生み出せるのではと思います。
楽しみです♪。
>余計なお手間を取らせてしまいすみません。<
とんでもありません。あまりお役に立てない記事で恐れ入ります。
塗装作業自体を動画でお見せ出来れば、百聞は一見に如かずなのですが、
作業環境とスキルが伴わないので、申し訳ございません。
>水性塗料ならではの職人技ですね<
水性塗料ってそんなに特殊なものなのでしょうか?、確かに重ね塗りはやり易いですが・・・。
でも、ちょっと好奇心が沸いてきたのでラッカー塗料で重ね塗りの実験をしてみても良いかもしれませんね。
乾燥の速さはリターダーで遅らせる事が出来るでしょうし、重ね塗りの際の塗膜の捲れがどんな感じになるか興味が沸いてきました。
いずれそのうちやってみようと思います。
ドライブラシもラッカー系の方が効果が高そうに思えたりするのですが・・・。
でもラッカー系ドライブラシは筆への負荷が大きそうで虎の子の松本州平ブラシは使い難いし・・・。
代替えの筆が見つかってからの方がいいかな?。
>まさに達人技で、素晴らしい! 画龍点睛の好例だと思います。<
嬉しいお言葉ですが、そんなに難しい訳でもないですよ。
とは言え、そうおっしゃっていただいているお陰でようやくエアブラシコンプレックスから抜け出しつつある私です(笑)。
こちらこそ、ありがとうございます。
お使いの筆の種類は私とほぼ同じですが、やはり使い方の違いのようです。
「ベタ塗りのコツは3点」と「ボカシてるのかボカシしてないのかわからないくらいで」など、もの凄く勉強になりました。
毛が硬すぎるのは駄目というのは同感です。
ベタ塗りの1回目と2回目の違いも本当に良く判りました。
最後の3枚の写真も納得です。
自分がこの通りできるかどうかは判りませんが、やってみる勇気が出てきました。
エアブラシもその性能によって仕上がりが左右されると思いますが、
筆塗りも同じで筆によって結果が変わってきます。
塗料との相性が関わってくるのもエアブラシと同じです。
なので筆の選び方は大事です。
ただ極めてシンプルな道具だけに高級品だから良いという訳でもないですし、
安物だから使えないという訳でもなく、そのあたりのファジーさがかえって取っ付き辛くしているのでしょうか?
>スパッと諦めた方がいいかも、ですね(^^;<
自分に合わないと感じた筆はさっさと捨てちゃいましょう。
そんなに高い道具じゃないですから。
>ボカシを入れたルクレール、ボカシがとってもいい感じです<
ありがとうございます。みなさんとお付き合いしていただいてる中でエアブラシも色々難しい点、限界らしき部分がある事もわかって来るようになり、簡単に優越を付けられるものでもない事に気付き始めました。
ようやくエアブラシコンプレックスから抜け出せそうな今日この頃です(笑)。
コメントありがとうございます。
>先に塗ったところが剥げたりして上手く出来ません。<
基本的に重ね塗りは下層の塗膜が溶け出す前に塗ってしまう必要があるので、あまりモタモタ出来ないという難しさは確かにありそうです。
下層の塗膜の溶けやすさ溶けにくさは塗料の種類によってだいぶ差があるかもしれませんね。
>Choro-Pooさんは凄いです。<
個人的にはエアブラシ持ってなくてもある程度の事は出来ますよといった形で模型作りのハードルを下げたいという気持ちがあってとか言うと聞こえがいいですが、本当はエアブラシコンプレックスで意地になってるだけかもしれません(笑!)。
エアブラシを現に使っていらっしゃる場合、特に理由がない限りあえて筆塗りに拘る必要はないと思います。
水性塗料を使わない(使えない)私には眼から鱗ですが、水性塗料ならではの職人技ですね。黒猫殿もお書きですが、ルクレールのボカシが凄いですね。まさに達人技で、素晴らしい! 画龍点睛の好例だと思います。
ありがとうございました。
なるほど~、このラインナップが、筆塗りの匠が操る道具(筆)なのですね(^^)
>毛足の色が茶色っぽいナイロン毛の筆は毛質が硬くてイマイチ<
いやこれ全く同感です、よく前に塗った分まで持って行かれて何度ガックリしたことが...
でもせっかく買ったんだから、もったいないと我慢して使っているんですが、
スパッと諦めた方がいいかも、ですね(^^;
最後から2枚目のボカシを入れたルクレール、ボカシがとってもいい感じです
なるほどなぁ~と思いました。
私は重ね塗りしたとき、先に塗ったところが剥げたりして上手く出来ません。
なので、筆塗りは未だに大の苦手です。
Choro-Pooさんは凄いです。