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岩手日報「風土計」に学ぶ号外 

2018年12月30日 | 土日:NIEアラカルト
 新聞社が発行する「号外」とは、1面題字上の発刊番号の対象外として発行する紙面を言う。本日付の本紙は2万9238号。1938年1月1日付の新岩手日報を第1号とし、この通し番号に含まれないものが「号外」だ。
 歴史は古い。日本新聞博物館によると、国内で最初に号外が発行されたのは1868年5月16日。江戸を中心に発行していた中外新聞が戊辰(ぼしん)戦争の一つ、上野戦争の戦況を伝えたのが第1号だ。
 その後、各社こぞって発行するようになり、大阪毎日(現毎日新聞)は日露戦争の際、16カ月間で498回の号外を発行したという。1カ月に換算すると31回。ほぼ連日の計算だ。
 突発的な事件事故など関心の高いニュースの際に街頭配布する方式は当時も一緒。ネット時代の到来で速報の意味こそ薄らいできたが、歴史的瞬間の記念的価値はまだまだ失われていない。
 先週、大谷翔平選手の新人王受賞のビッグニュースが舞い込んできた。号外を配りに盛岡市大通へ向かうと、次々と手が伸びてきた。テレビやネットで報道済みにもかかわらず、道行く人々は紙を求め、笑顔を広げた。
 デジタルが極まるほど、アナログは価値が増す。瞬時に消えゆくネットと異なり、手元に残る紙のぬくもりだろう。次は菊池雄星選手の移籍先が注目されている。当然、号外の準備を進めている。

 岩手日報「風土計」2018年11月19日付(朝刊)
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