米国防総省は『Silent Talk』(無言の会話)と呼ばれるプログラムに着手した。
それが可能になると、戦場無線も歩兵の手信号もいらなくなる。
このプログラムは、発声による会話を使わずに、神経信号を分析することによって、遠隔地のコミュニケーションを可能にする。
会話で使われる言葉は、声になる前に、それぞれ固有の神経信号として脳の中に存在する。その会話前の言葉の神経信号を検出し、分析した後、相手にその内容を伝達する。
今回のプロジェクトの目標は3つある。
まず、個人の思考を形成する言葉と神経信号のパターンを分析すること。
次に、これらのパターンが一般化できるものであるかどうか、つまりすべての人が同様のパターンを持つかを確認すること。
最後に、信号を解読して特定の人に伝達するための方法を確立すること、である。
方法論として、磁気共鳴映像法などを利用して脳を読み取り、人間の思考に適応するコンピューターや、思考察知機能付き双眼鏡を作り、それによってコニュニケーションをとることが検討されている。
これらによって、会話による反応より、すばやくコニュニケーションをとることが目標である。
この方法には、戦場で密かに会話すること以上のメリットも考えられる。
すなわち、敵をこちらの命令に従わせることもできる可能性がある。
具体的には、敵の闘う動機を削ぐことや、敵をこちら側の命令に従わせる方法、恐怖や苦痛を感じなくする方法などである。
ただし、このような新技術が使われ、命令に従わされることが、人道的に問題にならないのか、慎重に検討されなければならない。