前々回のブログで、智慧による従業員の給料増加策の戦術的なものを述べたいと書きました。
今回、トライしてみます。
まず、制度に関するものです。
1. 給料等の金額に保険料率を乗じて計算する保険料の計算方法を変更する
労働保険料(労働者災害補償保険料・雇用保険料)、一般拠出金、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)、子ども子育て拠出金です。
このうち労働者災害補償保険料、一般拠出金、子ども子育て拠出金は、全額が企業(使用者・事業主等)の負担で、その他は、企業と従業員と一定の割合で負担します。
これらは給料等の金額が増加すれば増加しますので、給料等を支払う企業は負担が増加するため上げたくないという心理が働くと考えます。
保険料の計算方法を、給料等以外を基準として計算する方法、例えば、従業員が保険の給付を選択でき、それに応じて保険料が決まる仕組み、企業が負担するかどうかは自由とする仕組み等に変更すれば、企業側は給料等を上げやすくなると考えます。
でも、この変更は、健康保険や厚生年金の制度改革とセットでする必要があると考えますので、多分、現在の与党も野党も実施しようとしないでしょう。
2. 労働時間制限を緩和する
1日及び1週間の労働時間は労働基準法で制限されています。また、年間の総労働時間も、いわゆる「働き方改革」によって制限されています。
働く時間が短いと給料等は上がりません。
給料等の単価が変わらなければ、長く働けば給料等は上がります。
このような労働時間の制限を企業と従業員との合意、個別でも集団でも、合意によって柔軟に決定できるように変更すれば給料等は上がると考えます。
仕事があるように、景気をメチャクチャ良くして、企業も従業員も働かなくては損だという状況を作る必要があります。
それには、大減税と小さな政府、未来産業への選択投資、規制緩和、税金を使わない、民間の力を活用する智慧による運営等が不可欠だと考えます。
3. 時間外給料等の制限を緩和する
1日及び1週間の労働時間を超えて労働させる場合は、時間外の労働について割増した給料等を支払わないといけないことになっています。
時間外労働の時間を増やせば給料等は上がります。
しかし、通常より高い給料を払わないといけないので、企業は、時間外労働をさせたくないという心理が働きます。
時間外割増給料等をきちんと支払える企業等について時間外労働時間の制限を撤廃すれば、給料等は上がると考えます。
払いたくても払えないような企業(中小企業、零細企業、個人事業主)もいますで、そのような企業については、時間外給料等の金額の制限を緩和する措置が必要となります。
これも、企業と従業員との合意、個別でも集団でも、合意によって柔軟に決定できるように変更すれば、時間外手当を払える企業が増えて、給料等は上がると考えます。
この対策も、景気をメチャクチャ良くして、企業も従業員も働かなくては損だという状況を作る必要があるのは同じです。
4. 所得税等の源泉徴収をやめる
所得税等の源泉徴収をやめれば、毎月の給料等の手取り額は増え、従業員の資金繰りは楽になります。
ついでに年末調整もやめて、すべて従業員が個別に所得税を申告するようにすれば、もっと資金繰りは楽になります。
企業側の負担も減ります。
従業員も、現在の税や公的保険について関心をもつようになるはずです。
5. 結果平等的な従業員の取扱いを個別評価的な取扱いを取り入れたものに変更する
給料等があがらない要因のひとつが、日本では、労働を集団として評価することが一般的であることがあると考えます。
労働を個別に評価することが浸透しておらず、従業員の評価に大きな差がないという点があるということです。
頑張っても頑張らなくても結果は平等というような仕組みでは、全体として労働の価値、給料等は上がらないのではないかと考えます。
個別的な評価を取り入れている企業もあるようですが、日本の労働環境、空気、雰囲気、規制等が、あまり、差を付けないというもののような気がします。
6. 転職と終身雇用の選択ができるような仕組みをつくる
ネットで検索すると、日本の給料が上がらない要因の一つとして、従業員の流動性が低いというものが多く出て来ます。
これは、前述の従業員の個別評価と同じような考えだと思います。
ただ、日本には終身雇用という制度が浸透しており、法令等もこれを後押しするようになっていると考えます。
終身雇用というのも従業員にとっての便益です。
長く勤めていれば、それなりに給料等はあがります。
転職して、給料等のアップを目指すのか、長く勤務するのか、各従業員の選択は自由です。
ただ、働くということ、公的負担、終身雇用、転職等について、もっと考える状況、機会、情報等を提供することがあってもいいように思います。
7. 給料等の金額の一部を投資とする会計処理を認める
支払った給料等は、決算書で支払った期の費用となります。
給料等が増加すると費用が増加し、利益が減少します。
利益をもっと出したいと思っている企業にとっては、給料等をあまり増やしたくないという心理が働きます。
ここで、給料等の一部は、将来への投資の部分があるのではないかと思うのです。
この投資等の部分を、損益計算書の費用ではなく、貸借対照表の資産に計上し、将来、従業員が企業の収益に貢献できるようになった時点で費用にするという会計処理を認めれば、企業の給料等を上げたくないという心理は少し和らぐかもしれません。
人材投資という点を意識した給料等の増加が期待できないでしょうか。
ただ、当該会計処理を認めると、費用が少なくなり、利益が増え、税金計算における所得が増加しますので、この点、税務上の調整が必要となると思います。
「税金よりも人材投資や」と企業が思えるくらい税率を低くしてもらえれば、調整の必要はありませんが・・・。
コロナ禍から抜け出してからでは遅いので、コロナ対策と同時進行していただけるといいなぁと考えます。
新しい政党が出てこないと駄目でしょうけど。残念。
飛んでいる蝶の写真を撮ろうと思いましたが、思ったより動きが速く無理でした。
動きがのろいようで早い。
弱いようで強い。
隠れた強さを持っています。
人間も持っているはずです。
コツコツと正しい方向で努力を継続している皆さん。
未来はあなた方の手の中にあります。
がんばれ。
諦めるな。
一歩でも前に進んでいってください。
60歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。
ちょっと長くなりましたが、大急ぎで書きました。
誤字脱字等は、ご容赦ください。
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