なんででしょうか、常々、
「人やものを見る目がない」
とよく言われます。
(確かにたいてい第一印象は間違えます)
そうは言っても何事も
他人の意見を鵜呑みにするわけにはまいりません。
結局、自分の見たもの感じたことを
信じるしかないではありませんか。
だから、
人には会ってみます。
土地なら訪ねてみます。
というわけで、
この連休は福島へ行こうと思い立ちました。
この仕事をしていながら何故か縁がなく、
行ったことがなかったのです。
福島県には三春の滝桜という名所があります。
「相馬野馬追(そうまのまおい)」という
勇壮な祭りもあります。
行ったことのない土地は国内だけでもごまんとありますが、
今後いろんな意味で避けては通れない福島県。
その福島という地への自分なりのとっかかりを
作っておきたかったというところです。
とはいえ気ままな旅気分です。
さて、福島のどこへ行こう?
会津若松、郡山、磐梯熱海温泉…
歴史・温泉にさほど興味がない身には
「るるぶ」を見ても、正直ピンと来ません。
そんななか、これは行きたいと思ったのが
高村光太郎、『智恵子抄』に登場する
安達太良山と阿武隈川です。
「あれが安達太良山 あの光るのが阿武隈川」
その風景を訪ねることにしました。
福島駅から在来線で20分。
安達という小さな町に
造り酒屋であった智恵子の生家とその記念館はありました。
裏山の神社へとつづく道。
光太郎と智恵子が揃ってよく散歩したその道を歩いていくと…
「あれが安達太良山、あの光るのが阿武隈川」
光太郎の有名な『樹下の二人』の詩碑が立ち、
眼下にはその通りの風景が広がっていました。
ちょうどその日は台風一過の青空。
山よりも、川よりも、1週間ぶりに目にする青空が沁みて、
もうひとつの詩が浮かんでは消えました。
「智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
…智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。」
知らないがゆえに私のなかでのっぺらぼうだった福島県。
でも今後、ニュースで「福島」と聞くたびに、
青空を切り取る安達太良山と、
きらめく阿武隈川が目に浮かぶことでしょう。
その座標軸を得られたことが何よりの収穫でした。
さて、この旅のもう一つの収穫は
智恵子という女性への印象が一変したことでした。
(やはり第一印象はいつも間違っています)
病を患ってからの智恵子のイメージしかなかった私は
記念館で智恵子が記した文章にふれ、驚きました。
こんなにも強く、賢く、明晰な女性だったのかと。
以下は智恵子が、若い女性に向けて記した文章の一節です。
「あなた御自身、如何なる方向、
如何なる境遇、如何なる場合に処するにも、
ただ一つ内なるこえ、たましいに聞くことを
お忘れにならないよう。
この一事さえ確かなら
あらゆる事にあなたを大胆にお放ちなさい。
それはもっとも旧く最も新しい、
成長への唯一の人間の道と信じます故」
あの時代にあって、この言葉、
さすが、高村光太郎が愛した女性です。
さて、2泊3日、駆け足で訪ねた福島の旅。
今回の福島訪問が次の福島の旅へと
すぐ結びつくわけではありません。
それでも、
自分の感じたものをもっと信じなさい
そう智恵子に後押ししてもらった気分です。
来て良かった…
そうしみじみ噛みしめ、帰途につきました。
連休が明ければ、遊んだつけがしっかりやってきます。
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