「忘れない」はいらない

神戸生まれの神戸育ちです。

そうお客さまに言うと、震災の話になることがあります。

「私も震災前は神戸に住んでいたの。
　でも家が半壊してね。だから宝塚に移ってきたの」

「兄夫婦をあの震災で亡くしてね…」

そうした苛酷な経験はされていなくとも、
宝塚や川西をはじめ、阪神間にお住まいの方なら
あの揺れを体験された方が大半でしょう。

そのお一人おひとりに、それぞれの阪神大震災があるはずです。
その後、生活が一変した方もあるでしょう。
大切な人を失った方もいるかもしれません。

忘れようがありません。

だから

「あの日を忘れない」

１月１７日が近づくたびにくり返される
そんな、テレビや新聞の紋切り型のことばには、
正直、脱力します。


「忘れない」
その言葉を向けるべきは、個々人の記憶や思い出に対してではありません。

どうすれば災害の被害を小さくし、
人の命や財産を守ることができたのか。

その答えを追究し、
社会全体で共有できる「かたち」
つまり制度にすること。

それが「忘れない」ということであり、
「震災の教訓を伝える」ということだと信じます。

あの日から１５年。
今年で一区切り…となりそうな、震災の節目報道に思いました。



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