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インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅      薬物後遺症と心の傷・・・5

2011-12-12 | 3章 デリー中央精神病院・入院記録
   「デリー中央精神病院・入院記録」・・・4   

 大使館の良い病院があるから入院して治療しなさいという言葉にぼくは同意した。ここはどういう病院なのかぼくは知らないが、薬物治療専門のアシアナとは異なっているように思える。アシアナでは入院した翌日から処方薬の効果は明らかだった。禁断特有の下痢と涙や鼻水などの症状は出なかったし、脳内を切り裂くような電気も感じなかった。辛かったのは夜、眠ろうとすると疼きだす身体の痛みと、退院するまでの50日間続いた不眠だった。この病院に入院してまだ4日目で、どんな薬を使っているのか分からない。禁断特有の症状は続いているが、昨夜は眠れたような気がしている。もし本当に夜、眠れるのであれば日中に感じる禁断症状は我慢できる。いつ終るともしれない、不眠の恐怖の夜から解放されるのであれば。
 マリーが面会に来てくれた。ぼくはマリーのアパートを出て、メインバザールのホテルに住むようになってからも、彼女とは時々会っていた。しかし今回、ぼくが入院する件について、彼女は正確な事は何も知らなかったはずだ。マリーはどうしてこの病院が分かったのだろうか?入院するとは彼女に言ったかもしれないないが、どこの病院であるかはぼく自身でさえ知らなかった。大使館の車でここへ来たのだが、今でもこの病院の名前もデリーのどこにあるのかぼくは知らない。マリーは大使館に寄って、病院の場所を聞いてきたのだろうか。ぼくは毎週月曜日に裁判所への出頭命令が出されている。それが出来ない場合は、ドクターのメディカル・レポートを裁判所へ提出しなければならないそうだが、その件についてマリーがぼくに教えてくれた。
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