「デリー中央精神病院・入院記録」・・・5
ぼくのベットの前にある椅子に、マリーが座ると周りをシスター達が取り囲んだ。マリーが面会に来ても、絶対に2人だけにはしてくれないだろう。
「どうして?マリーと2人だけの話があるのに」
ドラッグ中毒のジャパニーと、ガールフレンドはアフリカ女。シスター達の目は警戒と不快感を露わにし、面会時間が終わるまで彼女達は立ち合った。ぼくは目でスタッフを持って来たかと、マリーに問うがとぼけているのか知らん顔で、下着や厚手の靴下等をベッドの上に置いた。それらはシスターによる不信物チェックは既に済んでいたのだろう。
毎週月曜日10~11時の間にオールドデリーにあるティスハザール裁判所へぼくは出頭しなければならない。だが今、ぼくはそれが出来ない。大使館とドクターそれにマリーが話し合って決めたのだろう、ぼくの代わりにドクターが用意するメディカル・レポートを持ってマリーは裁判所へ出頭する。辛い仕事だ。
「今日より明日、次に来る時にはトミーはもっと良くなっているわよ」
ぼくの手を握ってマリーは帰って行った。
病状は良くない。下半身の衰え、身体の震えが止まらない。