ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No2 Ward・・・・・38

2013-12-09 | 3章 デリー中央第一刑務所No2Ward

頭の中を電流がショートし発光する、睡眠薬を飲んでも身体の痛みと不眠は続いていた。ワンシート10錠を飲むと真っ直ぐには歩けない、それ程睡眠薬は効いているのにドラッグによって生まれた擬似脳は眠らないのだ。きつい禁断の苦しみを何度やったことか。その中でも最も苦しんだのは初めてのスタッフ切りだった。断って1週間、2週間が過ぎても禁断の苦しみから解放されない、その症状がいつまで続くのか先が全く見えない、不安に絶望した。1ヶ月を過ぎた頃から時々体調の良い日があったりするが翌日また逆戻りしてしまう、精神的に落ち込んだ。妖しいケシの花、禁断の蜜の味を知ってしまった者は生涯その苦しみから抜け出す事は出来ないのかもしれない。そんな絶望感が死への扉を開くのだろう。4月に始まった禁断による身体の痛みと不眠は6月になってやっとぼくの身体から抜け出して行った。そのときぼくはスタッフの恐さを知った、と同時に耐え続ける精神力があれば禁断から抜け出せるとも思った。パールガンジ警察署に逮捕されたときぼくは長期間に約300g以上のスタッフを継続していた。フレッドから買った150gのスタッフはぼく個人が数ヶ月で使用する量である、今までの日数と量とは桁が違う。今回スタッフを切り抜ける可能性はないと思った、その時点でぼくは死を覚悟した。しかしデリー中央第4刑務所アシアナは重症の薬物中毒者を専門的な治療によって患者を回復させた。ぼくは生き長らえた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする