散策の途中、銀座通りのEPOの前を通るとき、ふと仲見世のことを懐かしく思い出すことがある。かつて今のEPOの場所にあった仲見世は、雑然とした雰囲気と生活感溢れる店舗が通路の両側に並んでいた。その仲見世にあったお店で、もっとも印象に残っているのが正直屋だった。 記憶では仲見世があったのは、90年台の前半頃まで。バブル景気の頃に取り壊されてEPOが出来た。仲見世にあったお店のうち、何軒かはEPOの中にテナントとして入った。正直屋もEPOの地下に移り営業を続けていたが、数年前に撤退してしまった。幼い頃から正直屋のうなぎの蒲焼を食べていたので、撤退はなんとも残念だったが、横浜に本店があることを知り機会があれば買い物に行きたいと思っていた。そんな折、つい先日、仕事で横浜に行くことがあったので仕事帰りに正直屋に立ち寄ることにした。 正直屋の本店があるのは、横浜市南区の横浜橋通商店街。横浜駅から横浜市営地下鉄ブルーラインに乗車し5つ目の坂東橋駅で下車して徒歩2分ほど。ちゃんと調べていなかったので少し迷ってしまった。1番出口を出てすぐのところだった。 地下鉄の出口から50mほど歩くと、大きなアーケードが架った商店街の入口が見えてくる。横浜橋通商店街だ。長さ360mほどの通りに130店ほどの店舗が並んでいる。庶民的な商店街で端から端まで歩いたがなかなか雰囲気があって面白い場所だった。 横浜橋通商店街をキョロキョロしながら歩いていると、目的の正直屋を発見。控えめな店舗なので1回通り過ぎてしまった。正直屋はこの横浜橋通商店街で創業から65年。小田原では30年ほど営業していたとのこと。 店舗の前に出されているショーケースには700円と800円の蒲焼に1100円の白焼き。どれも蒸していない関西風の蒲焼。閉店5分前だったので商品は少なかったが、せっかく来たので3つ全部購入。店先でご主人とわずかながら話をして、小田原から来たことを伝えると少し安くしてもらえた。 正直屋でうなぎを買い、混みあう東海道線で小田原に帰ってきた。電車の中で身崩れしたんじゃないかと心配したが、蒸してない弾力のある蒲焼なので買ったときのままだった。 蒲焼を皿に移しレンジで温める。脂が滲んで結構こってりしてそうだが、野趣溢れる味わいが関西風のうなぎの美味しさだと思う。 白焼きもレンジで温めた。この正直屋の白焼きにはうなぎのタレもついていたのでどのように食べるのか今ひとつ分からなかったが、一般的なわさび醤油で食べることにした。 正直屋のうなぎを、うな丼と蒲焼と白焼きで堪能。久しぶりに食べたが記憶のままの懐かしい味わいで大満足。蒸していないので、脂が強く臭みも少し残っているが、うなぎの弾力ある食感が美味しい。かつて仲見世にあった正直屋の立て場や、蒲焼を焼く機械のことを思い出しながら、じっくりとうなぎを味わった。
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