今から50年前、1961年当時の小田原市内には23軒の銭湯が点在していた。東京オリンピックを挟んだ数年の間は市内の銭湯の数に大きな増減はみられないが、高度成長により庶民の住宅事情が変わり始めた昭和40年代半ばから銭湯の数は減少の一途を辿るようになった。資料の欠損により1961年から9年後に発行された小田原商工年鑑から小田原市内の銭湯の移り変わりを辿っていく。
【1970年に小田原市内に存在した銭湯】
1.草津湯…栄町2(新規?)
2.若松湯旅館…栄町2
3.緑 湯…栄町3
4.藤の湯…栄町4
5.中島湯…中町2
6.浪花湯…浜町3
7.万年湯…浜町4
8.相模湯…浜町4
9.衆楽湯…本町1
10.清水浴場…本町3
11.御幸湯…本町3
12.十字湯…南町1
13.百合の湯…南町4
14.寿美の湯…東町2
15.政の湯…東町3
16.久の湯…城山4
17.田浦湯…井細田
18.鈴の湯…井細田
19.蛍田湯…蓮正寺
20.日乃出湯…曽我原
21.泉 湯…国府津
22.日乃出湯…鴨宮
23.大黒湯…酒匂(新規)
1961年当時から1970年当時に存在した銭湯数は23軒と増減は無いが、1961年の商工年鑑に記載のあった福の湯と光妙湯が無くなり、新たに草津湯と大黒湯が登場している。新たに登場した草津湯は1956年の年鑑に同名の記載があり1961年の年鑑からは記載が無くなった銭湯で、1970年の年鑑に登場した草津湯はおそらく同じだと思われる。もう一つ新たに登場した大黒湯は、酒匂地区の浴場事情の変化によって新たに開業したと思われる銭湯。戦後、酒匂地区周辺の住民は印刷局の共同浴場を銭湯代わりに利用することが出来たが、1962年に住民向けの利用が禁止となったのでおそらくその後の地域のニーズがあって開業したようだ。
【1976年に小田原市内に存在した銭湯】
1.若松湯…栄町2
2.緑 湯…栄町3
3.中島湯…中町2
4.万年湯…浜町4
5.相模湯…浜町4
6.御幸湯…本町3
7.十字湯…南町1
8.百合の湯…南町4
9.寿美の湯…東町2
10.政の湯…東町3
11.田浦湯…井細田
12.鈴の湯…井細田
13.鈴の湯…扇町2(新規)
14.泉 湯…国府津
15.日乃出湯…鴨宮
16.大黒湯…酒匂
1971年発行の商工年鑑に記載のあった銭湯数は23軒で、その5年後に発行された年鑑には16軒と減っていて、この間にずいぶんと銭湯の廃業があったこと伺える。草津湯・藤の湯・浪花湯・衆楽湯・清水浴場・久の湯・蛍田湯・日乃出湯(曽我原)の記載が無くなり扇町の鈴の湯が新たに登場し1増8減。数年後の昭和50年代からは一層銭湯数が減っていくことになる。【その3に続く】
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