アートセラピー「心のお絵かき」の世界

アートセラピストで妻で母で女の、楽しく豊かでゆるい人生後半日記。

プーシキン美術館展の風景画

2018-06-05 14:57:54 | 美術・芸術
私は、美しい自然の中に入るとほっとします。

しばらくその中にいると、とても良い気分になって元気になります。

この展覧会の会場では、不思議なことにそれと全く同じ事がおこりました。

一枚一枚の作品が、とにかく美しく気持ち良いのです。

風景画がテーマの展覧会でしたから、まるで美しい自然の中を散歩しているのと同じ感覚になれたのです。

18世紀くらいまでは、人物画や宗教画の背景としての風景ですが、手を抜かず、
無邪気に真剣にありのままに風景を写実して表現してくるので、それはそれで心を打たれます。

19世紀からは、風景画が一つのジャンルとして確立してきます。

産業が盛んに成り、都市・都会が発生して、その反作用として、今までどこにでもアタリマエにあると
思っていた自然の美しさ、貴重さに気づいたのかもしれません。

なので、この時代の風景画は、そのままの自然に対してとても誠実な感じがします。

自然の中に座って、ただただ無心に眺める感覚に似ています。

更に20世紀以降になると、そこに画家の感情みたいなものが混じってくるみたいですね。

風景をそのまま正確に描くというより、「自分にはこう見える」「私にはこう感じられる」みたいな。

ですから、同じ場所の風景を描いても作家それぞれの表現になります。

見る方も、自分の感覚に合った絵を好きになりますね。

セザンヌの色合いやタッチにぐっとくる人もいるでしょう。



私の場合、シスレーはどれを見てもキュンときてしまいます。

日本人はもともと、自然の美に対しては敏感だと思います。

ですからこの展覧会は、とても気持ちの良いものに感じられるかもしれません。

私は、会場の部屋を回るごとに、まるで美しい森の中を散歩したみたいに癒やされましたもの。