ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

平成18年刊 別冊「正論」

2016-09-11 22:30:43 | 徒然の記

 亡くなった叔父が、「在日コリアンの歴史」(民団編集 教科書副読本)と一緒に、買い求めていた「別冊 正論」を読んだ。

「反日に打ち勝つ! 日朝・日韓歴史の真実」と銘打たれたこの雑誌には、沢山の学者や評論家が寄稿している。その中から、叔父が読んだであろうと思われる記事を中心に目を通した。

 高崎経済大学教授の八木秀次氏の論文が、私の無知蒙昧に一番光を当ててくれた。韓国が教科書でどのように自国の戦後史を教えているのか、特に日本との関係でどんな教育をしているのか。

 嘘が沢山混じった反日の教育だとは聞いていたが、ここまで酷い内容とは知らなかった。こうなると、現在の韓国人が日本を責めている根拠は、事実を踏まえた理論ではなく、たんなる感情論に過ぎないことになる。お前が嫌いだ、お前が気に入らないという相手とは、真面目な議論が成立しないし、話せば理解し合えるという到達点も、最初から無い。

 八木氏の叙述をそのまま引用する方が分かりやすいし、ショックも大きいから、面倒がらずに転記してみたい。一連の反日博物館を見学するため、平成17年に氏が韓国訪問をした際の報告でもある。

「日本と韓国との間の歴史認識の溝は、我々の予想以上に深いのかもしれない。」「慰安婦の強制連行や創氏改名、あるいは竹島の帰属問題とか、そのような個別の歴史的事象のことでなく、」「韓国側が有している、歴史の大きなストーリーが、われわれ日本人には、」「到底受け入れることが出来ないものであることに、由来するのだ。」

「どうも、韓国の公式史観では、1919年(大正8年)の3月1日、すなわち三・一独立運動で、」「大韓民国は独立したが、日帝の弾圧によって、海外に亡命政権を作った。」「その亡命政権は、独自の軍隊を持ち、大東亜戦争が始まると、」「日本に宣戦布告し、韓国は独立戦争を戦った。」

「そして、日本の敗戦とともに、韓国は戦勝国になった。」「と、このようなことを、言っているようである。」「韓国が日本と独立戦争を戦い、戦勝国になったなどという話を、」「日本人は聞いたことが無い。」「しかし韓国では、これは古くから、いわば常識と言っていいもののようである。」

 氏も驚いたかもしれないが、私はもっと驚いた。叔父の遺品の「在日コリアンの歴史」に、似たような記述があるが、さすがにここまで明確に書かれていなかった。在日のための教科書副読本なので、日本人の目に触れる可能性があるから、露骨な捏造ではばれてしまうと、曖昧に書いていたのだろうか。

 こんな歴史の大嘘は、日本人だけでなく、世界だって相手にするはずがない。黄文雄氏が、「韓国人の独立運動なんて、台湾のそれに比較すべくもない。」と言っていた意味が、これで分かった。

 あるいは大戦後に、韓国がサンフランシスコ条約の戦勝国に加えてくれと頼んでも、米国など連合国から無視されたと、そんな話の意味もこれで分かった。

 しかし当時の李承晩大統領は、この大嘘の史観を韓国の戦後史の土台に据え、反日教育の出発点とした。八木氏の文章を、再び引用してみよう。

「日帝が太平洋戦争を起こすと、大韓民国臨時政府は日本に宣戦布告し、」「連合国軍とともに、独立戦争を展開した。」「韓国光復軍は、中国各地で中国軍と協力して戦い、遠くインドやビルマ戦線まで進み、イギリス軍とともに対日戦闘に参加した。」

「韓国光復軍は敵の後方を攪乱するなど、さまざまな特殊戦で戦果を収めた。」「アメリカに住むわが同胞たちも、アメリカ軍に参加し、独立運動に立ち上がったりすることもあった。」「わが民族の積極的な独立戦争は、各国に知られ、世界列強は、韓国の独立運動に関心を持つようになった。」

 あの戦争の間、日本人は韓国軍との戦闘など耳にしたこともないし、そんな軍隊が存在したことも知らない。それどころか、日本軍の中には朝鮮人の将軍や佐官たちがいて、日本軍を指揮し、連合国軍と死闘を繰り広げていた。まともな日本人なら、こんな馬鹿げた話を聞く耳など持っているだろうか。 

 韓国の独立は日本が敗戦した結果の、棚ぼた式のものだったというのが、世界各国の常識なのに、なんと、この虚構が韓国の歴史教育だ。戦後70年にわたり、朝野がこぞって、こうした教育をするのだから、韓国人の反日ぶりが生半可なものでないことが、よく分かった。

 日本ではこの間、反日日教組が、「日本は悪かった。」「日本は間違っていた。」「中国や韓国では、残虐の限りを尽くした。」と、自虐の歴史を教えていたのだから、両国の歯車が奇妙な調和をもたらしたことになる。韓国では国民が皆日本へ威丈高になり、日本では全国民が卑屈に反省するようになった。このままでは、明日の日本は真っ暗闇でないか。

 そのうえ天皇陛下までが、自ら皇室の伝統破壊を始めておられるし、国民がよほどしっかりしないと、やがて祖国消滅の辛酸を舐める定めとなる。

 八木氏の記事の次にショックを受けたのは、二人の韓国人の対談記事だった。拓殖大学教授の呉善花(オ・ソンファ)氏と、韓国の作家・評論家である金 完燮(キム・ワンソブ)氏は、共に日本の統治を肯定し、韓国では反逆者扱いであるらしい。

 まず金氏の発言を抜粋してみる。長いけれど、大切なことなので我慢して転記する。

「昨日ネットに接続したら、ある韓国の女の子のメッセージがあり、数分チャットをしました。」「彼女は、私の本を変だと言うですね。」「韓国政府が捏造した反日の歴史を教えていて、自分たちの学んだ歴史がみんな嘘だとしたら、」「日本はどうしてそれを、黙っているのか。」

「私の本が真実なら、日本が黙認しているのはおかしい。」「韓国政府に抗議してくるはずなのに、抗議してこないということは、」「日本も侵略を認めているということではないか、というのです。」「この子の反応は、至極まともだと思います。」

呉氏の応答・・・・・。「日本人が、本当に韓国・北朝鮮との良好な関係を築きたいと考えるのなら、」「あんなに簡単に、謝罪してはいけないのです。」「真の友情を求めるのなら、歴史に関わる誤解は解かなくてはならない。」

「日本人が安易に謝罪するのは、所詮韓国も北朝鮮も大して重要な国でない、」「本気で付き合いたい相手でないと、無意識にせよ思っているからでしょうか。」「それが謝罪と裏腹に、見下したような態度にも映る。」

金氏の応答・・・・。「韓国にとって、日本は重要な国ですが、日本にとっての韓国はそれほど重要でない。」「日本人は、韓国のことにそれほど神経を使わず、興味も持っていない。」「それが現実なのかもしれません。」

 韓国を嫌悪している私は、二人の会話を複雑な思いで読んだ。日本の親韓派や親北派は、それこそ相手国にべったりで、相手を持ち上げ、卑下することしかできない愚か者が多い。しかしこの二人は、知日派であるが、親日派ではなく、祖国を思うが故の知日だ。

 政治家も外務省も、経済界の実力者たちも、二人の話に耳を傾けるべきでないのだろうか。名も無き庶民である私たちは、日常生活の中で「いわれなき朝鮮人蔑視」を止める努力が必要だろう。

 しかし、これは相当に難しい。昨今の韓国・北朝鮮の悪口雑言は、蔑視無くして聞けないものが多い。それでも呉、金氏のような人物がいるのだから、こういう人々を手掛かりに、誤解を解く努力をすべきか・・・・。しかし、現状では、私自身がその気になれない。

 叔父は、どんな気持ちでこの本を読んだのだろうか・・・。なんだか今夜も、眠れない夜になりそうだ。

 

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