ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『第一次世界大戦』 - 3 ( 反日学者のダブルスタンダード例 )

2021-10-06 22:05:49 | 徒然の記

 第一次世界大戦の引き金になった「サラエボ事件」について、私は学校で、簡単に教えられました。洞氏は歴史学者だけあり、さすがに詳しい事実を語ってくれます。

 日本以外の国を語る時は、偏見がありませんので、安心して読めます。

 「大正3 ( 1914 ) 年6月28日、オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子フェルジナント大公は、」「公妃と共に、ボスニア州の首都サラエボに到着した。」「州で行われる陸軍大演習の、統監に赴く途中の訪問であった。」「日曜日のその日、サラエボは素晴らしい晴天である。」

 19ページが著作の書き出しですが、簡潔で、魅力的な文章です。日本についてもこのように述べてくれれば有難いのですが、そうはなりません。しばらく、魅力的な氏の叙述を追いましょう。

 「大公夫妻は、朝の10時に宿舎を出た。」「州の歓迎会がサラエボ市役所で開かれることになっていたので、自動車で会場へ向かったのである。」「沿道は、夫妻を歓迎する人波で埋め尽くされていた。」

 この時突然一人の青年が躍り出て、大公の車を目掛けて爆弾を投げつけました。爆弾は大公の胸に当たって路上へ跳ね返り、後続車の前で爆発しました。

 危うく難を逃れた大公夫妻は、歓迎会の帰路は危険を避けるため、予定したヨゼフ街の通行を止めました。ところがこの予定変更が、手違いで運転手に伝わらず、車は変更前のヨゼフ街を進みました。

 「同乗していたボスニア総督ポチョレークが、これに気づき、」「慌てて車を止めるよう、命令した。」「運転手がバックさせようとしたその時、食料品店の前に立っていた男が、」「いきなり、ブローニング拳銃を放った。」

 「最初の一発が大公の顔を打ち砕き、二発目が太公妃の腹部を貫いた。」「車は直ちに二人を総督官舎へ運んだが、15分後には二人とも絶命した。」

 爆弾を投げた男も、拳銃を撃った男も、その場で捉えられますが、これが「第一次世界大戦」の引き金となった「サラエボ事件」です。当時の世界情勢がまとめられていますので、氏の説明を転記します。

 「この事件が、第一次世界大戦の導火線になるのだが、」「事件はあくまでもきっかけであり、大戦の原因となる要素は、ヨーロッパ中に満ち満ちていた。」「それは一言で言えば、ドイツとイギリスをそれぞれの盟主とする、二大陣営の対立であった。」

 経緯を箇条書きにしますと、次の通りです。

 ・明治11 ( 1878 ) 年のベルリン会議以後、ロシアとドイツの間に不和が生じた。

 ・ドイツはオーストリアと手を結び、ロシアとの対立に備えた。

 ・さらにドイツは、イタリアに参加を呼びかけた。

 ・フランスと植民地問題で対立していたイタリアは、ドイツ・オーストリアの同盟に参加した。

 ・脅威を感じたロシアがフランスに接近し、秘密同盟を結んだ。

 ・イギリスは両陣営に対し中立を守っていたが、ドイツの強力な軍備増強を見て、これまで不仲だったフランスと結んだ。( 英仏協商 )

 ・ついでイギリスは、日露戦争以来悪化していたロシアとの関係を改善した。(  明治40年、英仏露三国協商 )

 ・大戦が始まるまでの7年間は、この三国同盟と三国協商の二大陣営の対立が続く。

 読めばわかる通り、各国は自国のエゴを全面に出し、「昨日の敵は、今日の友」と、合従連合を繰り返しています。両陣営の台風の目は、ドイツでした。かの有名な鉄血宰相ビスマルクのもとで、北ドイツ連邦と南ドイツが一つになり、これにフランスから獲得したアルザス・ロレーヌ地方を加え、ドイツ帝国が誕生していました。

 ドイツの状況を説明する氏の叙述を、そのまま転記します。

 「名宰相ビスマルクの巧妙な内外政策で、ドイツ帝国は、飛躍的に国力を増強していった。」「内にあり余る力は、当然のように外へ向かって伸びざるを得ない。」「ドイツの欲望は、フランスの鉱山、ベルギーとオランダの良港、ロシアの領土、」「さらには、バルカン半島にまで広がっていた。」

 「植民地の獲得も、他の列強に比べると大いに立ち遅れていて、」「有するところは。わずかにアフリカと中国の一部、」「太平洋上の、南洋諸島だけである。」「これもまた、ドイツにとっては不満の種であった。」

 元々日本のご先祖たちは、こうした列強の植民地化を恐れ、日本防衛のため、日清・日露の戦争をしました。日本の朝鮮併合や満州進出は、その延長線上のもので、ドイツの強欲とは比べ物になりません。氏は、ドイツの侵略については当然であるかの如くに語り、日本に関しては許せない行為として説明します。もう一度、前回の叙述を転記しますので、しっかりと読み比べてください。息子たちに言います。これが反日左翼教授の、典型的な文章です。

 〈 2.   日本帝国主義者にとっての天祐 〉  (  洞氏の説明   )

   ・日本は朝鮮併合から満州経営へと、次第にその侵略の手を広げ、東洋の支配者として君臨しようとしていた。

  ・第一次大戦の勃発は、日本にとって、中国侵略の絶好の機会だったのである。

  ・日本にとって対抗勢力だった、ロシア、イギリス、ドイツが、中国での力を弱めることは目に見えていた。

  ・しかも中国では民族革命 (  辛亥革命 ) が挫折し、動揺していた。

  ・まさに日本帝国主義者たちにとっては、「天祐」であったと言える。

 洞氏は、ヨーロッパの列強の欲望は、世界史の常識とでも思っているのでしょうか。なんの批判もせず、次のように続けています。

 「オーストリアとしても、自国の版図を広げるには、」「バルカン半島への進出以外、道はない。」「ところがセルビアを中心とする民族主義運動が、ともすればこれを妨害する。」「そこでいつかはセルビアを粉砕し、禍の根を絶とうと機会を伺っていた。」「サラエボの凶変こそ、待ちもうけていた絶好の機会だった。」

 暗殺者たちがセルビア人で、事件の背後にセルビアがいると分かり、オーストリアが宣戦布告に等しい最後通牒を突きつけます。せめぎ合っている陣営の一角が走り出せば、同盟国が動き出し、こうして世界大戦となりました。書き足りないことが多くありますが、私が息子たちと、「ねこ庭」を訪問される方へお伝えしたいのは、洞教授の不愉快極まりない説明です。

 こうした反日左翼の書籍が、戦後75年間、どれだけの若者を惑わせてきたのか。どれほどの間違った教えを広めてきたのか。悪法の「日本国憲法」を、あたかも神様のように信じさせてきたか。今こそ、見直す時でしょう。安倍・菅元総理が、「日本学術会議」の6人の反日学者の任命を拒否した正しさが、多くの人々に理解されると思います。

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4 コメント

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文化のちがい (onecat01)
2021-10-07 09:57:59
 kiyasumeさん。

 中国の怖さを、なぜ国民の多くが気付かないのか。理由は、日本のマスコミがそれを伝えないところに、大きな原因があります。

 その次に、反日左翼の野党だけでなく、自民党の中にも、中国のお金に目が眩んで、協力している政治家が沢山いるということです。総裁選でこの件が見えたのが、河野太郎一家の「中国での企業展開」でした。

 彼らは日本のためでなく、中国で金を稼ぐ方に力を入れています。彼らだけでなく、こういう人間が沢山います。中国が町工場を買い占めているとは知りませんでしたが、北海道で、広大な土地を爆買いしていることは知っていました。

 しかしどうでしょう。このことについても、マスコミはほとんど報道しません。だから私はも中国に土地を売ったり、工場を売ったりする国民を馬鹿な人間と言う前に、それを国民に伝えないマスコミや、政治家、学者、評論家たちを責めたいのです。

 アニメについては、あなたが言われる通り、日本のものを金で買っても、中国で作るのは難しいのです。作られるものには、日本人が日本人の心で向き合っているからです。「世界一素晴らしい日本人」とか、「優れた国民」だと言っているのではありません。

 私たちは知らず知らずのうちに、日本の長い歴史と習慣の中で暮らし、その中で身につけて生き方を続けているのです。ただそれだけのことですが、国民全体として見た場合、これが大きな違いとなります。

 中国だけでなく、韓国もそうですが、この人たちの思考は、「他責」です。自分が悪いのでなく、全部他人が悪いのだ、と言う考え方です。失敗しても自分は反省せず、周りの人間が悪いと文句を言います。

 しかし多くの日本人はそうでありません。他人を責めると同時に、「自分のどこがいけなかったのか。」と、反省もします。こう言う謙虚さや相手への配慮が積み重なって、アニメが作られ、工場の製品が作られています。

 だから、高いお金で工場を買ったり、何人かの人間を引き抜いたりしても、中国では成功しないのです。

 善悪の問題でなく、これは民族や文化の違いという問題ですから、簡単に解決しません。今回のコメントにしましても、貴方なりの「気遣い」だと思いますが、中国人はおそらくこのようなことはしないはずです。

 言い方が不味くて誤解するのなら、それは誤解する人間の方が悪い、自分は間違っていない・・と、彼らはそのように考えます。

 長くなりますので、この辺りでやめますが、気にならなければ、またお喋りに来てください。
返信する
お早う御座います。 (kiyasume)
2021-10-07 08:29:12
昨日は、何か私の文の書き方も悪かった様で、、
誤解を与えて仕舞いました。すみませんでした。

処で日本の中小企業。町工場の殆どが
中国に買収されて居るの、日本の国民は知って
居るのでしょうか・・・・・・。

もう今から30年ぐらい前から、中国人のバイヤー
が日本に来て。町工場の従業人ごと1軒の工場を
5億から10億円で買い取って居ましたよ・・・。

私の近所にある町工場の経営者が言って居たけど、、
日本の技術が欲しい中国は金を積んで買収して居る
らしいですね・・・・・。

当時日本人は、馬鹿だから危機感がなかった
様だけども、要するに日本の精密機器を作れる
町工場を根こそぎ中国に持って行かれて居ますよ、、

その上、学者。アニメーターですか・・・・。
習近平は漢民族の世界支配を狙って居ますよね。

ただアニメの場合は、日本のアニメは・・・・・。
アニメーターだけではアニメにならないのでして、
作画監督・美術監督・音響監督・音楽が一体化
しないと日本のアニメは出来ないのですよ。

と言うか日本のアニメにならない・・・・・。
それは日本には技術があるから、それは真似でき無い。

勝手、宮崎駿が中国でアニメを作れと言われて、
中国に出向いてあるアニメスタジオで仕事を
したんですが、中国では宮崎駿の言う事が
相手方が何も理解出来なかったそうですよ。

結局企画は流れて仕舞ったそうです。
最近は中国は日本のアニメを締め出して
仕舞いました。中国の国民は日本のアニメは
もう見られません・・・・・・・。

そして中国には日活ムードアクション時代。あの、、
石原裕次郎の「嵐を呼ぶ男」の監督が当時で、
5億円で買収されて、中国でもう一度

今度は中国人の俳優を使って石原裕次郎の
「嵐を呼ぶ男」を撮影しましたが、、
出来は全然駄目でしたね。そんな物ですよ。

日本が置かれて居る状況は、世界的に見て、、
非常に厳しいですよ。中国。韓国の隣人たちは
日本を容赦しませんからね・・・・・・。
中国は新幹線で日本に商売で勝ちましたよね。

日本は余程に気を付け無いといけませんよね。
長くなりました。それでは、また。。。。
返信する
民族問題 (onecat01)
2021-10-07 00:23:12
 HAKASEさん。

 洞氏の著作に使われている、オーストリア・ハンガリー帝国周辺の、詳細な民族分布図をみました。

 ブルガリア人、セルビア人、スラブ人、ルーマニア人、ルテニア人、チェク人、ドイツ人、ゼルマン人等々、多くの民族が各国に入り乱れて住んでいます。

 強い国が弱い国を併合した結果、国と民族がバラバラになっている事実を知りました。チェコの紛争の時もそうでしたが、一つの国に他民族が暮らすというのは、紛争の種になります。

 同じ民族は、宗教や文化や言語・習慣が同じですから、違った国に分かれて住んでいても、一つにまとまろうとします。洞氏は民族問題について説明していませんが、これらの国々が常に争っているのは、ここに大きな原因があります。

 ほとんどが日本人でまとまっている国に暮らしていますから、私たちは、民族問題の深刻さや大きさを、間肌身に迫って知ることがなかったのだと、やはりそう思います。

 洞教授だけでなく、日本の反日左翼学者の多くは、民族問題を安易に考えていますから、幕末・明治時代のご先祖の危機感が理解できません。だから、「共生社会」「多様な人間が暮らす寛容な社会」などと、今でも空論を国内に広げています。

 日本の教育を握っているのは、学者たちです。その総本山が「日本学術会議」で、国民の思想教育に絶大な力を持っています。戦前は、いわゆる国粋主義者が力を持っていましたが、敗戦後はGHQの力で、反日左翼が力を持ち、今日に至っています。

 歴史教育も、憲法解釈も、学校教育も、彼らが主導していますが、国民にはほとんど知られていません。洞教授だけでなく、先日のブログで取り上げた宮沢俊義氏や、芦部信喜氏などが良い例です。

 彼らは共産党や反日野党やマスコミに、理論的裏付けを与え、反日左翼活動を支えている利益集団です。

 菅全総理がそれを明確に言えなかったのは、彼らの力が無視できないものであるからです。私のような、何のしがらみのもない庶民だから、言えますが、総理や大臣がこういう本音を言いますと、テレビと新聞が叩き回ります。

 やはり、反日左翼学者の跋扈は、日本を崩壊させます。「護る会」の登場や、高市氏の総裁選出馬など、少しずつですが、日本が過去を取り戻しつつある姿ではないでしょうか。

 コメントに感謝いたします。
返信する
世界戦争への道が見えた (HAKASE(jnkt32))
2021-10-06 22:34:10
今晩は。第一次大戦の主な原因となったセルビアは、
後のユーゴスラビア。この辺りは中東に匹敵する緊張
がある様ですね。欧州の火薬庫と例えても良いでしょうか。

この土地の不安、不穏に付け込んで勢力争いをしたの
が欧州列強という理解で良いのでしょうか。オースト
リア・ハンガリー帝国の隆盛に与する側と、セルビア
独立を利用して自国益を肥やそうとする側の対立が
昂じて、第一次大戦への進んだと拙者は心得る所です。

その後 当時の日英同盟の定めに従い、我国が旧連
合国側に加わったのは、歴史の授業でも学んだ所です。
尤も 或いはご存知の様に、学校での近現代史学習は
本当に雑なものでしたが、貴記事も拝読すると 一
つの「世界戦争への道」が見えてきた気にもなっている所です。

洞・元早大教授の「第一次大戦は、日本の帝国主義
者達にとっての天祐」の下りは 確かに事実の所も
ありはしたでしょうが、我国の出方を「初めに侵略
ありき」の不良な取り上げは拙者も不同意であります。

以前も申した記憶がありますが、我国の近代戦史は
その全てが侵略であった訳では決してなく、洞元教授
の取り上げは正確さを欠くと拙者も思います。

菅・前総理に任命拒否された、日本学術会議のメンバー
も、同様の思考問題を抱えていた事が推察されます。
菅・前総理は、その所をズバリ説明しても良かった
様にも思う所ですね。貴連載は途中かもですので、
今回はこれ以上は差し控える事と致します。
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