父は日本蕎麦が大好きです。
ふたりで出かける時はかならずお蕎麦屋さんで昼食を取ります。
住まいの周りには焼き肉屋さん、牛丼屋さん、ラーメン屋さん、お寿司屋さんと不自由することない程、沢山食事をするお店があります。
なのに、お蕎麦屋さんだけが無いのです。
遠出の目的は最近はたいてい親戚関係への喪服姿での外出だったりなのですが、父はこの日の行き帰りの私との買い物や日本蕎麦の食事をとても楽しみにしております。
母がこの世を去ってから10年、その10年前父は「俺もあと3年だな」と言いつつ幸い目標をはるかに上回る人生を大きな病気も無く送ってくれております。
耳が遠くなったり、物忘れしたり、思考力が鈍ったりは当たりまえの自然の流れの中の現象で、それでもりっぱな83歳を過ごしております。
3人の孫たちを愛し、そのパートナーもこよなく愛し、一同に集まる時を一番の楽しみとしているのです。
たったひとり娘の私から、家族がこんなに増えた事を一番喜んでいる父。
いつまでもいつまでも、こうして出かけられる日々が続いて欲しいと願う私です。