田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

Vを挟撃せよ/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-03-04 11:05:10 | Weblog
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百子に追いついた美香。
柱の陰にいる百子に直にいう。

「撃ってきているのは、スナイパーとはべつのヤツよ」
「すごく清潔な地下道ね」
翔子は青山や雑司ヶ谷霊園の地下と比べている。
「でも……街はないみたい。ショッピングはできないわね」
百子はジョークをとはしながら催涙弾を投げた。

「オネエ。スナイパーの思念とらえたよ」
美香の脳裡にもいわれてみればかすかに。
かすかに、細い、とぎれそうな思念の糸がふるえている。
その糸口にじぶんの思念を結びつける。
そしてたどる。途中から波の糸は複数となる。太い。
この強い思念はエイドリアンだろう。遠ざかっていく。
柱の陰からVがコロガリ出る。咳き込んでいる。
赤い虹彩をさらに赤くしている。
プシュプシュと太いマフラーから銃声。
そして弾丸がつきた。
「わたしが確保する。後から追いつくから」

翔子が走りだしていた。
翔子がいったように清潔な地下道だ。
ゴミ一つ、吸い殻一つ落ちていない。
どころか、ひとの気配もない。
いままでに通行人がいたようすもない。
人跡未踏の処女雪の山に登っているようだ。
そう感じた理由がある。
地下道は四面とも白い。
そして、いつしか登り勾配。
「抜け道なのよ。このまま進めば、地上にでられる」
「オネエ。ふたりともとまったよ」
「歌っている」
「そうね。歌っているシ」
「ジャズ喫茶……」
「わかるシ。ピットインだよ」
「みんなに連絡入れる」

翔子が携帯を百子にいれる。
ここと、地上から挟み撃ちにする作戦だ。




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