第三章 黒髪キリコ
遠野郷の民家の子女にして、異人にさらわれて行く者年々多くあり。ことに女に多しとなり。 柳田国男「遠野物語」31
1
山のレストランをでて榊隼人は二社一寺への道を選んだ。
道に沿ってレストランや地粉が売りの蕎麦屋。
食堂、休憩所、乗馬クラブ、体験学習。
陶芸教室などがあった。
そのひとつひとつの看板が隼人にはおもしろいらしい。
しばらくたたずんでは、看板と店の建物を眺めながらのんびり歩いている。
山のレストランは北米スタイルの料理だった。
ニジマスのチーズ焼きはおいしかった。
中禅寺湖で養殖したというニジマスは肉もしまっていた。
チーズの匂いが適度にからみ合っていた。
美味だった。
直人は死にたくなかったろう。
きれいな恋人をのこして。
任務を遂行するともできず。
死んでいった。
直人が崖から転落死などするはずがない。
美智子さんも悲しかったろう。
ぼくにはわからないほど。
悲しんだのだろう。
まだ直人の死からパーフィクトに立ち直ってはいない。
どこかはかなく、崩れてしまいそうな危うさがある。
危うさが、彼女に翳のようなものをにじませ。
それが憂いのある……彼女の魅力となっている。
そのはかなさ。
……憂いが彼女の美しさをきわだたせているのだ。
●作者注。
奥の細道より。
黒髪山は霞かゝりて、雪いまだ白し。
剃捨て黒髪山に衣更 曽良
黒髪山は日光山の主峰、男体山。
キリコは霧降のキリ。
それで、ちかぢか黒髪キリコの登場です。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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遠野郷の民家の子女にして、異人にさらわれて行く者年々多くあり。ことに女に多しとなり。 柳田国男「遠野物語」31
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道に沿ってレストランや地粉が売りの蕎麦屋。
食堂、休憩所、乗馬クラブ、体験学習。
陶芸教室などがあった。
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山のレストランは北米スタイルの料理だった。
ニジマスのチーズ焼きはおいしかった。
中禅寺湖で養殖したというニジマスは肉もしまっていた。
チーズの匂いが適度にからみ合っていた。
美味だった。
直人は死にたくなかったろう。
きれいな恋人をのこして。
任務を遂行するともできず。
死んでいった。
直人が崖から転落死などするはずがない。
美智子さんも悲しかったろう。
ぼくにはわからないほど。
悲しんだのだろう。
まだ直人の死からパーフィクトに立ち直ってはいない。
どこかはかなく、崩れてしまいそうな危うさがある。
危うさが、彼女に翳のようなものをにじませ。
それが憂いのある……彼女の魅力となっている。
そのはかなさ。
……憂いが彼女の美しさをきわだたせているのだ。
●作者注。
奥の細道より。
黒髪山は霞かゝりて、雪いまだ白し。
剃捨て黒髪山に衣更 曽良
黒髪山は日光山の主峰、男体山。
キリコは霧降のキリ。
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