5
友ちゃんと太田があとずさった。
保健室からでていこうとしている。
勝平は由美先生の足を下から支えている。
どうしてなんだ。
きみらを東京から引率してきた先生じゃないか。
やさしい先生じゃないか。
どうして、このまま、置き去りにして逃げるんだ。
そして、勝平は思った。
死ぬことは、負けることなんかじゃない。
暴力に屈しない心の強さがそこにはあるんだ。
由美先生はおれたちが、あいつらに見つかるのを守ろうとしているんだ。
どたどたと丸太を廊下にたたきつけるような足音。
橋田先生だ。
なぜなんだ。
チビで赤鼻のアイツがどうしてあんなに重い足音なんだ。
どうして由美先生を犯した仲間に橋田先生が入っているんだ。
先生同志じゃないか。
由美先生をたすけてあげたらいいじゃないか。
足音がひびいてくる。
まちがいない橋田先生だ。
みつかったら殺される。
殺されないまでも、死ぬほど竹の鞭で叩かれる。
太田と友ちゃんに両手をひかれた。
二人に引きずられた。
ロッカーの後ろに隠れた。
勝平は泣いていた。
しまいに涙がでなくなった。
先生がロープのさきでかすかに揺れていた。
ちくちく目が痛い。
泣いているのに涙がでない。
先生が揺れていた。
まだ生きていたはずだ。
目が真っ赤に充血している。
目が痛む。
血の涙をこぼすとはこういうことなのだろう。
先生がおれの体をけった。
おれたちを逃がすためにおれの肩をけった。
おれたちを逃がすために。
ひときわ濃い陰毛は多量の精液にまみれたままだった。
腟から逆流した異臭。
のしたたり。
生徒たちはなにがなんだかわからない。
寡黙になっていた。
複数の男たちの夥しい精液が腟の襞に吸収されないままながれだしていた。
あの精液に橋田先生のものも含まれている。
由美先生の下半身から血がしたたっていた。
その顔からは急激に生気がうしなわれていった。
非情な重みが由美先生の喉を締めることになった。
由美先生の目からなみだがしたたっていた。
どうして、あんなこと……するんだよ。
どうしてひとがひとをいたぶるんだよ。
どうして? ひとがひとを、殺すんだ。
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暴力に屈しない心の強さがそこにはあるんだ。
由美先生はおれたちが、あいつらに見つかるのを守ろうとしているんだ。
どたどたと丸太を廊下にたたきつけるような足音。
橋田先生だ。
なぜなんだ。
チビで赤鼻のアイツがどうしてあんなに重い足音なんだ。
どうして由美先生を犯した仲間に橋田先生が入っているんだ。
先生同志じゃないか。
由美先生をたすけてあげたらいいじゃないか。
足音がひびいてくる。
まちがいない橋田先生だ。
みつかったら殺される。
殺されないまでも、死ぬほど竹の鞭で叩かれる。
太田と友ちゃんに両手をひかれた。
二人に引きずられた。
ロッカーの後ろに隠れた。
勝平は泣いていた。
しまいに涙がでなくなった。
先生がロープのさきでかすかに揺れていた。
ちくちく目が痛い。
泣いているのに涙がでない。
先生が揺れていた。
まだ生きていたはずだ。
目が真っ赤に充血している。
目が痛む。
血の涙をこぼすとはこういうことなのだろう。
先生がおれの体をけった。
おれたちを逃がすためにおれの肩をけった。
おれたちを逃がすために。
ひときわ濃い陰毛は多量の精液にまみれたままだった。
腟から逆流した異臭。
のしたたり。
生徒たちはなにがなんだかわからない。
寡黙になっていた。
複数の男たちの夥しい精液が腟の襞に吸収されないままながれだしていた。
あの精液に橋田先生のものも含まれている。
由美先生の下半身から血がしたたっていた。
その顔からは急激に生気がうしなわれていった。
非情な重みが由美先生の喉を締めることになった。
由美先生の目からなみだがしたたっていた。
どうして、あんなこと……するんだよ。
どうしてひとがひとをいたぶるんだよ。
どうして? ひとがひとを、殺すんだ。
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