3月10日 月曜日
●超短編小説49 それぞれの孤影
鹿沼の銀座通りで後ろから声をかけられた。
カミサンとふたりで同時に振り返るとKだった。
「やんなっちゃうよ。明日病院だ」
「どうしたの」
この街での最後の同級生に訊いた。
「悪い病気だと」
自転車で去っていく。
背をかがめ、自転車をこぎながら遠ざかる。
ギギとペタルを踏む音。
寂しそうな後ろ姿を黙って見送った。
悪い病気と聞いては、もうそれ以上立ち入ったことは訊けなかった。
わたし位の歳になると年々友だちが、アチラに移籍していく。
もう会えなくなった友だちが何人になるだろうか。
「誤診だといいな」
わたしはカミサンには聞こえないほど小さな声でいった。
いつも、「病気になったら、どうしょう。だれの世話になれるのかな」と心細いことを呟いているカミサンだ。
わたしは、カミサンの手を握った。
冷たかった。
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「悪い病気だと」
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ギギとペタルを踏む音。
寂しそうな後ろ姿を黙って見送った。
悪い病気と聞いては、もうそれ以上立ち入ったことは訊けなかった。
わたし位の歳になると年々友だちが、アチラに移籍していく。
もう会えなくなった友だちが何人になるだろうか。
「誤診だといいな」
わたしはカミサンには聞こえないほど小さな声でいった。
いつも、「病気になったら、どうしょう。だれの世話になれるのかな」と心細いことを呟いているカミサンだ。
わたしは、カミサンの手を握った。
冷たかった。
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