顔と名を 覚えておくのは 難しい

久々に…NIPPON ANIMATIONの作品に出演します。
20年以上前は…NIPPON ANIMATION作品が多かった僕です。
しかし10年前から…トンと御無沙汰のNIPPON ANIMATION作品です。

今日の収録前に…監督さんからイキナリ言われます。
「小野さん久し振りです…10年以上経ちますね」
僕は身を引くほど…『ええ！』と驚いてしまいます。

監督に「覚えていますか？」…と追い詰められる僕です。
僕は…過去のNIPPON ANIMATION出演作品を思い出します。
すると一瞬…或る監督の顔が浮かび『ええ！解ります』と応える僕です。

そして何もなかったように監督は…嬉しそうに仕事を始めます。
でも僕は少し不安に…あれこれと考え始めます。
それは…僕は人の顔と名前を覚えるのは強烈に苦手だからです。

もし間違ったままに時を過ごすのは…心苦しい僕は思い切って聞きます。
『○○○（過去のNIPPON ANIMATION作品）で…ご一緒ですよね？』
すると監督は「違いますよ！」…「あれ～！覚えてないじゃないですか」

僕は『すいませんでした？何の作品ですか？』と…聞き直します。
すると「《ダーティペアFLASH2》を覚えてますか？」と…聞かれます。
『はぁ高千穂先生の…』僕の記憶は遥か昔の出演作品に蘇ります。

そして今日の収録中に…その作品を思い出す必死の僕です。
まず《ダーティペアFLASH2》は…NIPPON ANIMATION作品ではありません。
数時間でスタジオやスタッフの顔を…徐々に思い出します。

収録後…監督さんに謝りに行く僕です。
『すいませんでした…でも少し思い出してきましたよ。』
「本当ですか？」と…監督は僕を疑っています。

すると「役名はなんでした？」と…鋭い質問を投げかける監督です。
でも『トーマです』と…即答出来る僕です。
その正解に監督は少し疑って…「Webで調べたの」と言います。

仕事中に調べられない僕が…何故役名を言い当てたのか？
実はこれは僕が声を嗄らしてして…唯一収録を休んだ作品なのです。
そして超高い声で話して…ＣＤで歌を歌ってるイヤな思い出深い役なのです。

監督さんには…『今からネットで調べます』と言い残しスタジオを後にします。
そして今チェックして…その作品の監督が今日の監督である事を確信します。
今から12年前の1995年の…人気OVA作品でした。

そしてNIPPON ANIMATION作品ではなく…SUNRISE作品だったのです。
顔や名前を覚えるのが苦手の僕に…制作会社が変わるのは難問過ぎです。
でも今日の失礼から…苦手と逃げては言ってられません！

『あ～人の名前と顔を…一回で覚える薬が欲しいです！』