★ 「猫鳴り」 沼田まほかる 読みました。
猫好きの人にも、そうでない人にも、おすすめの1冊です。
40歳でやっと授かった子供を流産してしまった信枝。
そんな時、庭に赤茶色の子猫が迷い込んできた。
まだ生まれたばかりで、みすぼらしく、
まるでヒキガエルのような、その猫は、
消えてしまった赤ん坊を思い起こさせ、おぞましささえ感じる。
彼女は、その猫を、新聞紙に来るんで、畑に捨てに行くのだが。。。
猫を飼った事がある人ならわかるような、細かい描写が嬉しい。
あぁ。。。そうそう、そんなしぐさするよなぁ。。。って、
スフィンクス座りとか、丸くなって寝る姿がアンモナイトのようだとか、
気分のいい時にグルルル。。。とうなるのを「猫鳴り」と名づけたり、
猫好きの私は、思わずムフフ。。。となってしまう。
登場人物も、興味をそそる人たちばかりで、面白い。
父子家庭の親子の会話が、また、いいんだなぁ。。。
そして、一匹の猫が、悶々とした日々を送る少年の心に、
ほのかな光を与えたり、
孤独な老人の寂しさや、死への恐怖をやわらげて行く様も、
深く静かに描かれていて、じんわりと涙があふれたのでした。
たかが猫。。。されど猫。。。