ちょっと前ですが、FA戦線がいよいよヒートアップしてきたタイミングで、巨人軍原監督が言っていました。
「人的補償はなくす必要がある。そしたら他のチームも、もっと参戦すると思う」。
これは、資金豊富な球団ゆえの発言とも思うのですが、人的補償で誰かを失う可能性が、獲得を希望するチームの参戦への足を鈍らせているのも事実のようです。
別にプロ野球選手会も「FA補償金の撤廃」を要求しています。
【 日本プロ野球選手会は移籍の活性化に取り組み、FA資格取得条件の緩和を求めている。同選手会では高額の補償金が障害となり、FA資格を取得しても実際には移籍が難しいものになっていると指摘。この移籍の難しさから、FA宣言自体を躊躇(ちゅうちょ)する例が多くなっていると分析し、FA補償金の撤廃を要求している。 】
また、長年の功績を挙げた選手がつかんだ“職場選択の自由”に対し、他の選手が自由を奪われることは、過去にも是非は問われています。
(これには『プロ野球界を一つの企業と考えれば、配置転換は仕方がない』という意見もあります。)
プロ野球界の選手獲得のルールは複雑です。その根底にあるのは、発言権の強い一部のチームの都合ではないでしょうか。
かつて読売新聞社の重鎮は、その人気や豊富な資金力からか、
「高校生の逆指名か完全自由契約にしなければリーグを脱退して新リーグ設立だ」などと言い、
当時ダイエー・王監督の「FA獲得は1球団1人まで」との意見に対しては
「反対だ。ワン(王)はなんでそんなバカを言う。ダイエーは貧乏だからな」などと発言。
どうもプロ野球界では、巨人軍(重鎮?)による弊害があるように思います。
(巨人ファンとしては複雑ですが・・・)
FAやドラフトに於いて、顕著に表れているような気がするのです。
ベースボールの母国アメリカでは、
<FAの人的補償はなく、ドラフト1巡目指名権が与えられる>
(それ以外にも細かな取り決めがあるようです)
ドラフトについては、完全ウェーバー制です。
(日本も2巡目からはウェーバー制としていますが、3巡目はその順は逆になります)
FA権取得も、日本9年に対し、アメリカ6年と選手の商品価値の高いうちに取得できます。
その根底には、日本は球団が第一で「各チームに平等に」であるのに対し、「ベースボール界全体を」の姿勢に、アメリカとの違いがあるように思われます。
また、アメリカには『収益分配制度』という面白い仕組みがあって、各球団収益の34%をリーグがプールし、全チームに均等に分配します。
つまり、人気球団は収益の一部を拠出し、人気の無い球団は、一部補填されるのです。
そのことにより、球団強化等も安定するというのです。
(勿論これにも努力をしないチームが安易に得するような欠点も有り、それを是正する仕組みも別にあるようです)
昨今取りざたされているセ・リーグとパ・リーグの実力差も、その一因として「くじによるドラフト」が影響しているのではないでしょうか。
両リーグの違いは、「選手の育成」にもあるのかも知れません。
人気球団を持つセ・リーグに対し、「実力では負けない」という意地と共にパ・リーグでは「育てる」ことが避けて通れない時代があったのでしょう。
セ・リーグにも、広島東洋カープのように、少ない資金源でも工夫し、高いレベルを維持しているチームもあります。
(カープは、12球団唯一FA選手を獲得していません。また、日本球界で最初にアカデミーをドミニカ共和国に立ち上げました)
制度への干渉や小手先の補強によらなくても、やりようがあるのです。
日本プロ野球界は、その有り様を考え直す時期だと思います。
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