時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

研究会三昧

2005年11月08日 | Indiana大学
IUのいいところだと思うのが、非公式の研究発表会がしょっちゅう開かれていることです。私は認知科学のメーリングリストに加入していて、情報学・認知科学・心理学関連の研究発表会の情報が回ってきます。今学期は毎週月曜日が情報学、水曜日の昼が認知科学、金曜日の昼に言語心理学の研究発表会があり、選んで参加しています。

今日は夕方6時から情報学科の発表会に。認知科学のTodd教授が最近の研究について1時間くらいで講演をしました。テーマが「人はいつ結婚を決断するか」とキャッチーだったせいか普段より聴衆が多く(50人を超えていました)、小さなセミナールームは一杯でした。

 内容は結婚を決断する年齢の分布(どの国でも一様に、いわゆる適齢期あたりのどこかを頂点として、高年齢側に裾を長くひく歪んだ分布になる)を再現するようなシミュレーションが出来ないか、というものでした。みんなが「最善の相手を探す」方針をとると、「いつまでたっても結婚する人がなかなか増えない」結果になるそうで、自分の価値(平たく言えば、モテるかどうか)を自覚するという「学習」が必要なのだそうです。

 そういう「自己の魅力認知」の存在はすでに社会心理学等で確認されていると思いますが、では、その学習期間をどう設定するか、というのが問題で、長く設定するほど、非常に少ない割合しか結婚に至らない、という結果になってしまうそうです。つまりよく言われる、「じっくり見定めすぎると婚期を逃す」ということが、シミュレーションでも裏付けられたということでしょうか??? その他の要因も試しているものの、現実の初婚年齢の分布を適切に再現できず、改良が必要なのだそうです。

 とても身近な結婚がテーマだけにみんないろいろと言いたいことが出てくるようで、質問が止まらず、発表者の先生はちょっとお気の毒。モデルをいったん単純化して、少しずつ要因を足してシミュレーションの精度を上げていこう、というアプローチは適切だと思うのですが。またドイツの大学との共同研究で、実際の男女を使ったお見合いシミュレーションのような実験もやっているそうです(ただし、一人ずつしか会えないし、そこで逃すと二度会えない!)

 この情報学の発表会シリーズのテーマは多彩で、この間はカブトムシの仲間の角のバリエーションから進化上の多様化の道筋を解明しようという研究がありました。どの発表会も参加自由なので、IUのキャンパス内だけでさまざまな分野の話が聞けます。こんなのは、他の大学でも珍しくないのかもと思っていましたが、Ken先生の話では、IUのような状況は珍しいのではないかということです。

 ついでですが、今日こちらに来て初めて髪を切りました。以前、日本人のNさんに相談した時「いちおう、日本で切ってもらった髪形の写真を撮ってきたんですけど」と言うと、「あー。。。無駄です」。上手な人、アジア人の髪を切りなれている人はほとんどいないとのこと。とても頼む勇気が出ないまま、伸び放題になっていました。

 しかし、数少ない日本人の美容師さんが勤めるお店があるという情報をゲット。予約を取って、いつもはあまり行かないダウンタウンの先までバスで。写真はバスを降りたところで取ったもの。貨物列車が写真奥へと伸びる道をまたいだ鉄橋の上を走っています。その日本人女性の美容師さんはもう7年Bloomingtonにいるのだそうです。その前はHoustonとか。幸い、上手に切っていただき、おかげで過激なイメージチェンジは避けられました。