時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

学会発表(伊吹島)やります

2005年11月21日 | フィールドワークから
10月24日の記事でちょっと書いたとおり、アメリカ言語学会の大会でポスター発表をすることになりました。先輩のNさんが「出しませんか?」と言ってくれたのでトライしてみたものが、なんとか採用になりました。以下のウェブサイトに情報があります。ご興味がある方はぜひご覧ください。
http://www.lsadc.org/annmeet/index.html

 学会は来年1月5-8日、ニューメキシコ州のアルバカーキで。私の題材は、日本の伊吹島方言アクセント。香川と愛媛の県境あたりの瀬戸内海に浮かぶ小さな島(行政区分上は「加ト吉」のある観音寺市)ですが、アクセント研究をやる人なら当然ご存知の、たいへん重要なアクセント体系を持つ方言ですね。写真は、伊吹島に二つある港のうち、対岸の観音寺港への連絡船が到着する真浦を離れていくところです。台風のあと、快晴の朝でした。

 去年の10月、東京音韻論研究会(TCP)で「伊吹島方言アクセント平進式のF0の動きについて」(亀田裕見さんとの共同発表)という題目で発表した内容が基になっていますが、De Jong先生との授業でのディスカッションを基に、今、一から分析をやり直しています。データは、松森晶子先生を中心としたグループの共同調査によるものです。この共同調査は科学研究費助成金(奨励研究)を受けて現在継続中で、今年も四国へ行きました(私はアメリカにいました)。

 内容は、もう出来る限りやるしかありませんが、英語で発表するのが恐怖。基本的には途中でツッコミがなく最後まで聞いてもらえる口頭発表に比べて、ポスターは客の出入りに合わせて伸縮自在・臨機応変にやらないといけないので、実は英語の力に関してはもっとしんどい、というのがこれまでの実感です。

 IUからは、De Jong先生がシンポジウムのスピーカーとして出るほか、言語心理学のPisoni先生、数人の院生などなどが発表します。私は2日目の午後。博士課程2年目のJungsunさんも発表するのですが、彼女は朝鮮語(韓国語)方言のピッチアクセントの研究をしていて、入学以来いろいろと情報交換をしてくれます。朝鮮語・日本語方言のアクセントの比較はおもしろいテーマで、将来は共同研究ができたらといいなと思っています。この記事を書いている最中も「日本語の母音フォルマントの論文か何か知らない?」と連絡がありました。

 彼女が方法を教えてくれて、なんとか往復の飛行機と4泊分のホテルの予約が出来ました。安売り、かつ飛行機&宿泊セットにしたのですが、そもそもアメリカのホテルは高いらしくて、合計574ドルもかかりました。あまり集金力のない分野である言語学には、学生に対する補助はあまりありません。学生の学会登録費は安いし、学会参加の補助が出る場合もあるようですが、毎回は期待できないようです。今回は自腹です。そもそも、学会会場がHotel Hyattなのです。学会は一種のお祭りで、社交の場だから仕方ないけど、痛い。。。

 でも、とりあえずどこか遠くに行けるのはうれしい。アルバカーキには、NBAのセレクションからはいったん漏れた田臥選手がいるようです。でも行くまでに昇格して「残念ながら見られなかった」となると、いいなあ。ちなみに直行便はあまりなく(たぶんあっても高いでしょう)、ヒューストンあたりでの乗り換えになります。帰りなどはむこうの空港を午後1:30ごろ発つのに、Indianapolisに到着するのは夜の8:00過ぎとのこと。

 帰ってすぐ次の日から春学期。来週の感謝祭休みも、クリスマス休暇も、分析とポスター作製で手いっぱいになりそうなので、気を安めている余裕がなさそうです。