時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

仙台の思い出

2006年02月08日 | 
仙台ということで久しぶりに東北方言か、と思うと全然そんなことなくてすみません。サッカージャーナリストの富樫洋一さんがエジプトで急死、というニュースを見て驚きました。風邪をひいて寝ていたときに亡くなったとの一報です。ここんところアフリカのサッカーの取材が多かったようですが、ネイションズカップの決勝を見る前に取材先で客死、ということになってしまったらしいです。

私はサッカー関係者に個人的なつながりは一切ありませんが、富樫さんには直接会う機会がありました。Chievo Veronaというイタリアの一部リーグ(Serie A)に奇跡的な残留を続けているチームがあるのですが、そこが仙台に出稼ぎに来てベガルタ仙台と試合をする、というイベントがありました。その試合前夜のレセプションに何故だか参加できて、そこに、おそらく仕掛け人の一人だった富樫さんがいたのです。サッカー実況の西岡明彦さんもいて、レセプションのようすをビデオで録画してました。

富樫さん、TVの解説ではしょーーもない駄洒落ばっかり言っている印象でしたが、実際に話してみると、慎重かつ的確な分析を聞かせてくれて、「やっぱりその分野の専門家ってのはそれなりに力があるんだなあ」と思ったものでした(私が評価できるのか、という問題がありますが)。

その時知り合った方が運営している「★Chievo星降る夜に★」というサイトで確認してみると、なんと2003年(6月)の出来事。あれから3シーズン、あの時来ていたChievoの選手は...まだけっこう残ってます。意外。監督のDel Neriさんは2度チームを移ってそれをクビになったばかり。一方ベガルタにいた人で、いまだにJ1でプレーしている人は何人いるでしょうか。プロの選手でいつづけるというだけでも、大変なことでしょう。監督は私の高校の先輩でしたが、比較的すぐクビになっちゃって今は解説してるはず。友人の友人のだんなさんは数シーズン後に引退して、Veronaにコーチ修業に行ったとか。富樫さんは亡くなって、まあついでに付け加えれば私はアメリカに。時が経つと事情はそれぞれ変わるもんです。

そのレセプションにある若くて身体の小さい選手がいたのですが、彼はいかにもスーツなんかめったに着ませんという感じ、一般客とは話さず、ちょろちょろこそこそ、隅っこでジュース飲んでました。顔に見覚えはあったのですが、その時は名前が思い出せなかった。レッズにいた石井選手なんかは話しかけるとかなりきちんと対応してくれたのですが、彼はまだプロとして一般人と交わるのに慣れてない感じでした。

その選手は次の日の試合、抜群にキレていて、このオフのイベントを最後に引退したもとドイツ代表のビアホフがインタビューの中で「あの選手いいですねえ、Chievoは契約を考えてはどうかと思います」と(社交辞令半分に?)言ってたような記憶があります。その人、佐藤寿人選手はついに日本代表に呼ばれて今アメリカにいるという話。今から思えば、その時一番光ってた人がその後台頭した、不思議ではない、ということになるのでしょうが、きっと相応の努力があったんでしょう。

富樫さんに戻ると、試合のあと仙台駅近くのコンビニでまた出くわすと、ちょっとだけ立ち話に応じてくれました(奥さんとお嬢さんと一緒でした)。ということで、亡くなった富樫さんを引き合いにさせていただき、仙台での、もう2年半も前の個人的な思い出について振り返りました。ご冥福を。