もう2週間くらい前のことです。いつも見ているCognoscenteという認知科学のメーリングリストの募集に反応して、ある実験に参加しました。とても面白かったので紹介します。これはNosofskyというカテゴリ学習に関する認知心理学の研究をしている先生のグループのポスドク、Marioが募集をかけたものです。幸い使ってくれて、セッションに参加。
あまりにも詳しいことを書いて研究の邪魔になってはまずいのですが、もうこの実験セッションは終わったはずですし、しょせん実験の本当の意味は私には分かりませんので、大丈夫だろうと。日本の認知科学研究者のみなさんなら、逆にこんなことが行われているのは、先刻ご承知でしょうし(←こんなブログ読んでないって)。さて、アポイントの時間に行くと、PCが1台置かれている暗~い部屋に案内されました。
詳しい説明は(実験台ですから)受けなかったので、細かいことは分かりませんが、手順は以下のとおり。画像として挙げたようなものがPC画面のど真ん中に表示されます。これは本物ではなく私が似せて作ってみたもので、上下左右に4種類挙げました。これを見て、
A 左の四角の色が明るい赤であるか、右の3本の棒の真ん中の短いのが左に近ければ、マウスの<左クリック>、
B そうでなければ<右クリック>
ここでいえば、左上と右下は、赤が明るいので、左クリック。右上は赤は明るくないけど、棒が左に近いので左クリック。右クリックは左下のものだけです。色や棒の位置は、明らかなものから、「どっちだ?」と迷う微妙なものまでさまざまなものが現れます。
「ピー」という予告音が鳴ってこの図形が現れ、たぶん1秒くらいで判断しないといけません。間違ってれば「Wrong」と宣告されるし、時間切れでも「Time out」と宣告されて×。速くかつ正確な判断を要求されるのです。慣れて来たところで数えながらやってみたところ、1回に120個の図形が表示されるようでした。休みを入れつつ6セクションですから、720個。所要時間は休憩を抜かして35分くらい。集中力が必要とされるので終わるとくたくたになります(ちょっと授業に影響)。
ちなみに、参加費あり。正解率が95%以上だとボーナスが出ます。
面白いのは、色も、棒の距離も「ここがグループの境目だよ」とはあらかじめ教えてくれないこと。「ちがうよ」という教示だけを頼りに、境目をだんだん学習していくということみたい。カテゴリ学習の実験なんだから、当然なのでしょう。微妙なゾーンのものはしばしばまちがえて「あ! ちくしょ~」などとぶつぶついいながら、暗い個室で図形に向かいました。(つまり、ものすごく真剣にやりました)
さらに面白いのが、一晩寝た次の日の結果です。別に何にもやってないのですが、なぜか境目を見分ける能力が上がっているのです。正解率がすごく上がり、なんと98%。ボーナスげっと。たぶん「限界までがんばるヤツ」と判断されたからでしょう、さらに2日間のセッションに呼ばれ、計4日間連続で同じテストを受けました。そんなわけで2日目以降はボーナスももらえてかなりもうけました。助かったの何の、しばらく食費の出費がかかりませんでした。
2日目で自分の判別能力のほぼ限界まで向上したらしく、最終日まで約2%の不正解率は残り、最後も720個のうち12、3個間違えました。それにしても、ただ一晩寝るだけで、学習した恣意的なカテゴリが安定して強化されるんでしょうか。睡眠と記憶の定着の関係もさかんに研究されているようですが、自分のことながら、人間の能力って不思議です。
ともあれ、Port先生のに続き、これまた自分の結果が論文に使われる可能性があるとは楽しみ。4日間でいったい自分の何が変化して、何が飽和したのか、ぜひ知りたい。もうかるし、またこういうのがあったら、絶対やりたいと思ってます。
あまりにも詳しいことを書いて研究の邪魔になってはまずいのですが、もうこの実験セッションは終わったはずですし、しょせん実験の本当の意味は私には分かりませんので、大丈夫だろうと。日本の認知科学研究者のみなさんなら、逆にこんなことが行われているのは、先刻ご承知でしょうし(←こんなブログ読んでないって)。さて、アポイントの時間に行くと、PCが1台置かれている暗~い部屋に案内されました。
詳しい説明は(実験台ですから)受けなかったので、細かいことは分かりませんが、手順は以下のとおり。画像として挙げたようなものがPC画面のど真ん中に表示されます。これは本物ではなく私が似せて作ってみたもので、上下左右に4種類挙げました。これを見て、
A 左の四角の色が明るい赤であるか、右の3本の棒の真ん中の短いのが左に近ければ、マウスの<左クリック>、
B そうでなければ<右クリック>
ここでいえば、左上と右下は、赤が明るいので、左クリック。右上は赤は明るくないけど、棒が左に近いので左クリック。右クリックは左下のものだけです。色や棒の位置は、明らかなものから、「どっちだ?」と迷う微妙なものまでさまざまなものが現れます。
「ピー」という予告音が鳴ってこの図形が現れ、たぶん1秒くらいで判断しないといけません。間違ってれば「Wrong」と宣告されるし、時間切れでも「Time out」と宣告されて×。速くかつ正確な判断を要求されるのです。慣れて来たところで数えながらやってみたところ、1回に120個の図形が表示されるようでした。休みを入れつつ6セクションですから、720個。所要時間は休憩を抜かして35分くらい。集中力が必要とされるので終わるとくたくたになります(ちょっと授業に影響)。
ちなみに、参加費あり。正解率が95%以上だとボーナスが出ます。
面白いのは、色も、棒の距離も「ここがグループの境目だよ」とはあらかじめ教えてくれないこと。「ちがうよ」という教示だけを頼りに、境目をだんだん学習していくということみたい。カテゴリ学習の実験なんだから、当然なのでしょう。微妙なゾーンのものはしばしばまちがえて「あ! ちくしょ~」などとぶつぶついいながら、暗い個室で図形に向かいました。(つまり、ものすごく真剣にやりました)
さらに面白いのが、一晩寝た次の日の結果です。別に何にもやってないのですが、なぜか境目を見分ける能力が上がっているのです。正解率がすごく上がり、なんと98%。ボーナスげっと。たぶん「限界までがんばるヤツ」と判断されたからでしょう、さらに2日間のセッションに呼ばれ、計4日間連続で同じテストを受けました。そんなわけで2日目以降はボーナスももらえてかなりもうけました。助かったの何の、しばらく食費の出費がかかりませんでした。
2日目で自分の判別能力のほぼ限界まで向上したらしく、最終日まで約2%の不正解率は残り、最後も720個のうち12、3個間違えました。それにしても、ただ一晩寝るだけで、学習した恣意的なカテゴリが安定して強化されるんでしょうか。睡眠と記憶の定着の関係もさかんに研究されているようですが、自分のことながら、人間の能力って不思議です。
ともあれ、Port先生のに続き、これまた自分の結果が論文に使われる可能性があるとは楽しみ。4日間でいったい自分の何が変化して、何が飽和したのか、ぜひ知りたい。もうかるし、またこういうのがあったら、絶対やりたいと思ってます。